きのホ。

ボロフェスタ2022
ボロフェスタ2022

誰もひとりぼっちにさせない音楽

少しずつ肌寒くなってきて、秋らしい空気が心地よい季節になってきた。そんな中始まったボロフェスタ2022の2日目。まだ1組目が始まる前なのに、どすこいSTAGEのロビーは超満員。それぞれがサイリウムを準備したり、色とりどりのアイテムを身につけて、ステージが始まるのを今か今かと待っていた。

そんな中後方から人の波をかき分けて登場したのが、京都を拠点に活動している、きのホ。である。京都らしい和風の衣装を身にまとい、元気いっぱいに登場したかと思えば、会場のボルテージはすぐに最高潮へ。「どすこい! どすこい!」とメンバーが煽れば、客席全員がそれを超えようと更に大きな声で「どすこい!」と返していく。一瞬でひとつになった会場に、筆者はひどく胸を打たれてしまった。

「予想の35倍くらい人がいる」と話すメンバーたちは、初めてのボロフェスタ出演に感謝の言葉を口にした。後ろのほうまで人で埋め尽くされた会場を見て幸せそうに目を見開く彼女たち、それを見つめて幸せそうに胸を押さえるファン。なんて素敵な関係性なのだろうか! なんだか羨ましいな、という気持ちまで湧いてくる。その場にいる全員で作りあげていく空気すべてが、手作りのフェス・ボロフェスタにとても似合っていて、思わず涙腺が緩くなる。

初めてのボロフェスタ出演を記念して、きのホ。は「観月京」「きのみきのまま」をアコースティック・バージョンで披露してくれた。小花衣こはる(生焼けピンク担当)がアコースティック・ギターを演奏し、メンバーみんなが座って歌うその空間は、元気いっぱい情熱たっぷりに踊って歌うパフォーマンスとはまた違ったよさがあり、お客さんたちもどことなく、うっとりとした表情で彼女たちの奏でる音を聴いていた。

最後、予定していた曲を全て披露し終ろうとしていた時、「あと5分ある!」とスタッフが叫ぶ。その場で予定になかった「爛漫」を披露してくれた。前の方で必死にサイリウムを振って応援する彼らのことも、後方で初めてきのホ。を見たという彼女らのことも、きのホ。メンバーはひとり残らず見渡しながら、ありったけの愛で包んでくれた。

誰ひとりとしてひとりぼっちにさせない、温もり溢れるパフォーマンスを目撃できたこと、心から誇りに思う。次はもっと大きなステージで!

Photo by コマツトシオ
Text by 風希