新世代(sic)boy、堂々たるステージ
Limited Express (has gone?)のパワフルかつ圧倒的なライヴの余韻が残るKBSホール。続いてお隣のORANGE SIDE STAGEに登場したのは、ここ数年、様々な場面で名前を聞く機会も多くなった(sic)boyだ。ヒップ・ホップとロックを融合して表現するスタイルで知られるが、影響を色濃く受けているであろうロック・スターを彷彿とさせる黒で統一されたファッションにも目がいく。新世代ミュージシャンは颯爽と登場し、いきなりエンジン全開フル・スロットルで駆け抜ける。「let’s go!」と叫び、始まった「(sic)’s sense」では、「人生なんて過去写す鏡 当たり前に変えてくその先に」と高々に歌い駆け抜ける。そして、その勢いに呼応するかのようにお客さんは手を上下に振り、彼の音楽とオーディエンスの相乗効果でライヴは更に加速してゆく。
「人それぞれ楽しみたいペースとか熱量あると思うので、好きな楽しみ方で楽しんでいただければ!」とコロナ禍の制限がなくなりつつあるライヴへの理解を示す。その後「Ghost of You」から「落雷」と続き、ハンズ・アップやクラップを求めながらシャウトを炸裂させる。疾走感を感じさせるような新曲も次々と披露すると、フロアからは反射的に賛美の声があがっていた。
9曲目の「眠くない街」では、響き渡るリズムに(sic)boyの骨太な歌声が重なり、続く「Kill this」では綺麗な高音をも魅せ、私たちは彼の若き才能と引き出しの多さに目が釘付けになる。続く「no. 13 ghost」ではさらに大音量かつパワーを感じさせるようなライヴ編成で、骨の髄まで響くような圧巻のパフォーマンスに私たちは思わず息を飲んだ。
そして、「Last Dance」にて「Take me higher」と訴え歌い、サブスクでのヒットを中心に彼の名をさらに広めた「Heaven’s Drive」を畳み掛け、会場の熱気は最高潮だ。ショートバージョンも含めた全13曲を約40分で歌い切った(sic)boy。ボロフェスタ2022、初日のクライマックスに向けてのバトンを見事に繋ぎ、会場のヴォルテージをあげてステージを去った。今後の彼の可能性とポテンシャルを十二分に感じるステージだった。