その場に居る全員で作り上げるステージ
ナノボロ2022の2日目、どすこいステージのトップを務めるのはショーウエムラ。普段は大阪のバンド・アフターアワーズでベース・ボーカルとして活動しているウエムラ。ソロではギターと歌で音楽を投げかけてくれる。ナノボロホームページの出演者紹介でも「そんなにギター弾けるんですね」とよく言われる、と紹介されているが、歌とギター1本で潔くステージを作り上げる彼の演奏は、本当に普段ベース・ボーカルなのか？と疑問を投げかけたくなるくらい軽やかで明るく、どすこいステージに集まったお客さんの心をすぐに掴んでいった。
「アフターアワーズは大阪をアピールしているけど、僕は京都出身なんですよ」と話す彼は中学生時代にKBS京都ラジオを聴いて過ごしていたという。だからKBSホールでライヴができることは嬉しいと、ウエムラは優しく笑みを浮かべる。「そんなKBSホールに、ナノボロに捧げます」と始まったのが“コーヒー＆ウイスキー”。難しそうなフィンガー・ピッキングを余裕たっぷりにこなしながら、「1杯、2杯、何杯飲んでも」と耳に残る印象的な歌詞を楽しそうに口ずさんでいった。
予定よりも早めに進んでいることを受け、残り1曲のところ「あと2曲やります」と急遽セットリストを変更し、“デイジー”、“バイバイ”で締めた。最後まで自分の気持ちを大切にして流れるように空間を作っていくウエムラに影響されるように、客席からは手拍子が起こりだす。その手拍子にのせてウエムラも最後まで熱く遠く声を届け続ける。周りを一瞬にして自分色に染めていくような彼のパワーに、お客さんたちも自然と体を預けていくのが分かった。「みんなでつくるナノボロ」というイメージを全身で感じることのできたステージになったのではないだろうか。
Photo by コマツトシオ
Text by 風希
