Hue’s

ナノボロ2022
ナノボロ2022

端から端まで愛があふれて、愛にまみれて

急遽キャンセルになったNo Funの代打として出演が決まったHue’s。彼らの出演が決定した時、ボロフェスタ主宰のひとり、土龍がメンバー全員に「愛してる!」と伝えたというエピソードもあり、ライブ前からホール内には少しずつ愛の片鱗が見え隠れしている。「No Funの代打ですけど、しっかりやらせてもらいます」と中嶋龍之介(Gt/Vo)の挨拶から、Hue′sの愛と気合いのパフォーマンスが始まる。夏の歌“ベランダ”が、中嶋のしっとりとしていて深く心に突き刺さる歌声と共に、ホール内に響き渡った。

「No Fun9人と俺ら4人合わせて13人のライヴです」と真っ直ぐな目で前を向いて宣言した次の曲“MayDay”では、「のどがかれるまでここで歌っていたい」という歌詞を力強く私たちに訴えかける。意図しているのかはわからないが、その選曲にNo Funへの愛をひしひしと感じた。No FunのグッズのTシャツを着てステージに上がった根來真嗣(Dr)からも伝わるように、No FunとHue′sはまるで一心同体であるかのようなパフォーマンスで、胸が熱く高鳴る。

ステージからフロアを見わたし、愛おしそうに優しく笑うメンバー。それを受けて拳を強く掲げるお客さん。ステージとフロアで、言葉は無くてもそれぞれに思いを伝えあっている雰囲気はとても美しく、たくさんの愛がどんどん溢れ出していく。

「今日は本当にありがとうございました、土龍さんもありがとう、No Funもありがとう」と感謝を述べた中嶋。最後の曲“ALMA”を大事に大事に演奏し、その瞬間を全て噛みしめているかのようなステージからは目が離せなかった。「あるがままの姿でおどれ、君が君らしくあるために」(“ALMA”の歌詞より)。最初から最後までNo Funへの心遣いとHue′sらしい強くて優しい音楽を貫き通した圧巻のライブは、ステージの端から端まで、フロアの端から端まで、優しさと愛で満ち溢れていた。

Photo by 瀬藤育

Text by 風希