曖昧な境界線、暖かなサイケデリア
2017年大阪にて結成されたインディぺント・ポップ・バンド、BROTHER SUN SISTER MOON。昨年10月に発売したファースト・アルバム『Holden』収録曲を中心としたライヴを披露してくれた。どちらかと言えば、『Holden』には涼しげな印象を筆者は持っていたのだが、本ライヴのパフォーマンスでは、どうやら印象とは違っていたようだ。始まりこそ“Time”の朝靄のような温度のイントロが、薄暗い会場を包むも、全体を通すと、少し汗ばんでしまうような暖かなサイケデリアが奏でられていた。
“A Whale Song”の、肩の力が抜けたピュアなバイブスを感じるポップネスで軽く弾んだあと、Foxygenを思わせるギークな展開が楽しい“Try”の流れが、まるで段々と気温が上がっていく4月~5月頃の緑を感じるようなエネルギーを作っていた。本ライヴのお気に入りのハイライトである。
最後の曲“Cactus”の、酩酊するアウトロと曖昧になっていく音像を追いながら、京都の夏を大いに味わっていることを実感していた。
Photo by shohnophoto
Text by 増井