Pee.J Anderson

ナノボロ2022
ナノボロ2022

トロピカルムードにとろける

京都を拠点に活動するエレクトロ・ユニット、Pee.J Anderson。ハウスコレクティヴ「NC4K」の運営に携わる他、レーベル「PAL.Sounds」より新作EP『Activoid / Propamin』をリリースしたばかりなど、国内ハウス・シーンの最前線で精力的に活動をしている彼ら。どすこいステージからフレッシュなクラブ・ミュージックを届けてくれた。京都市が突如の豪雨に見舞われた頃、ライヴはヌルっと始まった。

溶けだしていくアンビエンスな音像の中で、UKG〜ブレイクビーツなトライバルビートに、ただ身を委ねていた。湿り気のある場所で聴くと映える音なのかなとか考えていると、ふと楽しそうな話し声が耳に入る。どすこいステージの性質上、風除室ような場所なので人の出入りが多く、話し声が耳に入るなんてことは珍しいことではないのだが、やけに心地よく音楽と混ざりあい、溶けていったので印象に残っている。顔も見たことがない人間の存在を、家族のように感じたような気がした。これがPee.J Andersonの音楽の妙なのだろうか。飽和的でトロピカルな、ときにマッシブなビートに揺れながら考えていた。

Photo by コマツトシオ

Text by 増井