東京初期衝動

ナノボロ2022
ナノボロ2022

彼女たちは今日も鳴らす! これぞロックンロール!

東京からエアコンのない機材車で灼熱の中来てくれた彼女たちは、2018年結成のガールズバンド、東京初期衝動。ロックシーンで異色を放ち続けている。

しーなちゃん(Vo.&Gt)が「BABY BABY killer」と叫ぶのは、つい先日リリースされたばかりの新曲“エンドロール”。続いて“BABY DON’T CRY”と初っ端からキラーチューンが続き、早くもフロアには拳が突き上がっている。東京初期衝動の鳴らす音に、私たちは勇気を貰えている気がする。

そして、シャウトから始まる“高円寺ブス集合”でフロアの熱量は既に120%。「お前ら〜! 」と煽りながら絶叫する女の子、かの有名な「バーニラ! バニラバーニラ求人!! ……高収入!!! 」と叫ぶ姿に私たちが引き込まれてしまうのは何故だろうか。彼女たちの歌詞やメロディはいつだってロックンロールだからに違いない。

MCを挟んだのちに届けられた“流星”では、「中央線沿いに住んだの あなたと見た流星群」と歌い上げるしーなちゃん。これまでに一度は愛した人、好きだった誰かとの思い出が蘇ってくるような一曲だ。彼女たちなりの色で、誰もが共感するような感情を、私たちの代わりに今日も叫んでくれていると思うのだ。

「最後ロックンロールします! 」というしーなちゃんの言葉の後、続けて演奏された“再生ボタン”と“ロックン・ロール”。「あい! あい! あい! 」という合いの手と共に、会場の盛り上がりやクラップも終盤に向けて絶好調だ。しかし、ただ叫ぶだけではない。彼女たちは歌詞に気持ちをのせ届け続けるスーパーメロディックなガールズ・バンドだ。彼女たちがロックン・ロールを鳴らし続ける限り、この世界もまだまだ捨てたもんじゃないなと思えるのだ。

Photo by コマツトシオ

Text by キムラアカネ