the McFaddin

ナノボロ2022
ナノボロ2022

音楽×映像の真骨頂! だから私たちは拳を突き上げたくなる!

外は雨が降り始めた17時半過ぎのGREEN STAGEに登場したのは、京都を拠点に活動・カルチャー発信するオルタナティブ・ポップ・バンドthe McFaddin。彼らの作品はメンバーのみで全て完結、制作。演奏の背景に映し出される映像にも注目したいバンドであり、聴覚と視覚から彼らの音楽を感覚を研ぎ澄まして感じたい、そんなアーティストだ。

バックの映像の雄大な雪山にあわせて、ryosei yamada(Vo.&Gt)の高音が気持ちいい伸びやかな歌声が響き渡る。そして、“We are the McFaddin. ROCK FROM KYOTO”の文字が登場。続けて「夏の曲! 一緒に遊ぼう! 」というryoseiのオーディエンスへの呼びかけと共に、8/3リリースの新曲“Whales”が演奏される。掻き鳴らされる音に合わせて飛び跳ねるステージ上のメンバーたちを観ているフロアも、縦に揺れながら踊っている。そう、彼らの音楽には“一緒に遊ぶ”という言葉がぴったりなのだ。メンバー全員だけでなくオーディエンスも誰ひとり置いていかないグルーヴ感溢れるライブ演出。そして畳みかけるように慣らされた3曲目は“DRAW IN A HEAD”。「おっ、もう踊ってる! 」と嬉しそうに呟くryoseiに呼応するかのように、みな思い思いに体を揺らし踊る。まさにフロアとの対話だ。メンバーが、観ている人全員と目を合わせようとするような姿勢もこの一体感の源泉となっているはずだ。

ボロには欠かせない存在になりつつあるthe McFaddinだが、MCで「去年のナノボロにはコロナで出れなかった」というエピソードを話す。自身企画のイベントもコロナの影響で3度延期になっているが、来月に念願叶って開催するという。是非遊びに来て、と伝えるryosei。6曲目の“Fragile”ではフィルム調の映像に切り替わり、港町など、会場全体がどこか懐かしい雰囲気に。両手をあげながら「ありがとう! 」と叫ぶryoseiの言葉に対し、「こちらこそありがとう」という気持ちになる。

「みんな楽しかった? また会おう! 」と語りかけるように述べ、演奏されたのは今や彼らの代表曲となった“BuBBle”。「おれは嫌だ 何も知らないよ 訳ないけど 何が真実で これが現実? 何がいいのか? わからなくても 飛べるきっと」という歌詞にあるように、私たちは混沌とした現実を生きながらも希望を持って生きていく。彼らの音楽を聴くたびに活力を貰えている気がするのだ。

the McFaddinのライブは、その空間にいる全員が本当に楽しそう。叫ぶ姿に、爆音に、壮大な音に、魅力を感じる。そしてその空間を作り出している、彼ら自身が音楽を愛し楽しんでいることがわかるからこそ、私たちは毎回進化する彼らのライヴで、今日も拳を突き上げたい。

Photo by shohnophoto

Text by キムラアカネ