ズカイ

ナノボロ2022
ナノボロ2022

哀愁を感じるギター・ミュージック

大阪発5人組ロック・バンド、ズカイ。トリプルギターにシンセサイザーという編成で、絡み合うノスタルジックでノイジーなバンド・サウンドが魅力の彼らだが、ここORANGE SIDE STAGEにも重厚なギター・ミュージックを届けてくれた。

ホワイトノイズのようなアンビエンスと、キーボードの寂しげな音が交錯する中、少し間をおいてズカイが登場する。その間がなんとも心地よく、哀愁漂う空間へと、会場を染め上げていく。1曲目“酸素”が始まると、筆者をシューゲイズなギターの土台へ乗せてくれ、運び出してくれた。楽曲の気だるげな空気感と相まって、盆休みに帰省してきたような心地になる。

ライヴの終盤、まんくも(Vo.)が「人生をかけて作った」という、今年の9月にリリースされるファースト・フルアルバムの収録曲から“気に留めないで”を披露した。ふり絞ったボーカルと、淡いメロディーとが絡み合い、讃美歌のもつ神妙な音像を作り上げていた。

Photo by 瀬藤育

Text by 増井