愛はズボーン

ナノボロ2022
ナノボロ2022

「いつだって今が本番、その積み重ねが愛はズボーン」

昨日の余韻を少し引きずっているようなKBSホール。2022年8月21日、本日も無事にナノボロ2022の2日目が開催された。2日目のGREEN SIDE STAGEトップを飾るのは、大阪は心斎橋・アメリカ村からやってきた4人組バンド、愛はズボーンである。壮大なSEと共に堂々と入場してくるメンバーたち。ボロフェスタ定番のくす玉演出に、GIMA☆KENTA(Vo,Gt)は、「ウルトラマンが下りてくるとか変なイベントやな」と会場の笑いを誘った。そこからすぐにワン、トゥー、スリー、フォーのカウントで“MAJIMEチャンネル”がスタート。いつだって派手でまっすぐ、しかし予測不可能な愛はズボーンの空気に、観客は翻弄されっぱなしである。

2022年8月17日という、ほんの数日前にリリースされたばかりの新曲“ケミカルカルマ”が披露されると、お客さんたちも嬉しそうに体を揺らして応えていく。「明日からがんばるぞ」という歌詞に込められた全力応援パワーを、緑や赤の照明演出に照らされながら私たちへと投げかけてくれた。トップバッターにも関わらず、すでに会場の熱は最高を更新し続けていく。愛はズボーンの心からのエネルギーで、2日目を迎えるナノボロにも気合いが入ったと思う。

この7月末に父親になったという金城昌秀(Gt,Vo)は、子どもが生まれてからの心境の変化を語った。これまでは自分のために、と動きがちだったことを振り返りながら「みんなのためにというやりがいを見つけた」と話す。その顔つきは、責任感で溢れている。「どうか愛はズボーンがみんなの思い出のヴィジョンの隙間にスパーン!と入ってくれたらうれしい」とフロアを見わたしながら、お客さんと愛はズボーンの思い出作りを約束した。そして始まる“ニャロメ!”。金城の「父ちゃんはな…父ちゃんなんだぞ!!!」という一節にはこれまでとは違った説得力があった。それを支えるようなGIMA、白井達也(Ba,Cho)、富永遼右(Dr,Cho)の力強い演奏。父親としても「I was born」した金城の晴れ舞台のような時間となった。

最後まで“えねるげいあ”、“NEW SNEAKER MEMORIES”と続けて迫力のあるステージ・パフォーマンスを続け、熱が冷めることを知らない彼ら。「一分一秒一瞬この今が本番、その積み重ねが愛はズボーン」とGIMAが宣言した通り、経験が物語る重厚な演奏は、いつだって私たちに勇気と希望をくれるのだろう。

Photo by コマツトシオ

Text by 風希