UlulU

ナノボロ2022
ナノボロ2022

UlulU、彼女たちは逞しくもどこか懐かしい。

外は日も落ち、薄暗くなり始めた時間帯にGREEN SIDE STAGEに登場したのは、2015年結成のスリーピース・バンドUlulUだ。ポップさのあるロックン・ロールを鳴らしているエネルギッシュなガールズだ。

早速鳴らされたのは、2022年5月にリリースしたファースト・フル・アルバム『UlulU』から、リード曲でもある“3分間だけ愛されたい”。そして、“このドアを閉めるまで”と続く。ずっしりとした芯を感じる大滝華代(Vo.&Gt)の声はもちろんながら、安定感ある古沢りえ(Ba.&Cho)のベースと横山奈於(Dr.&Per)のドラムが、骨太なバンドを支えている核なのだとすぐに感じる。

MCにて、「普段東京でやっているのであんまり関西に来る機会がない。京都めっちゃ久々! 」と話す。そして鳴らされたのは“夕方のサマーランド”。夏のあの時をフッと思い出させてくれるような曲で、情景が頭の中に浮かぶ。この曲を聴けたことがとても嬉しい。

「ニューバージョンで、新アレンジでやってみます」1, 2, 3, 4! の合図で始まった“旅に行こうよ”では、大滝の切なげな声の雰囲気から始まり、ボリューム感が上がって、ベースとドラムの支えるリズムにのっていく。どこかカントリーな雰囲気も匂わせつつ、「旅に出ようよ 恋をしようよ」というハモりがまた心地よい。間奏で存分に披露されるプレイからは、演奏力の高さと音の重厚感が感じられ、フロアからも拍手が沸く。そして、デビューEP『話をしようよ』に収録されている、彼女たちが大事にしてきたであろう楽曲“指定席”では「新しい世界がみてみたい」と歌いあげる。懐かしさを感じさせつつも力強い大滝の歌声が頼もしく、行動してみよう、旅をしよう、という思いに駆られた。

「京都楽しかったです! もうあっという間! ありがとうございました! 」と大滝が話し、鳴らされたのは“風”。「進みたい道を選んでいこうぜ」という歌詞には、本当に励まされる。女の子の強さや彼女たちの逞しさの一面が垣間見え、とても勇気を貰えるのだ。

UlulUは生活した中で思ったことをそのまま曲にしている。直接的ないしは間接的に愛を歌っている。彼女たちは、こんなに逞しくカッコいいロックを作り出しているという事実は、未来はまだまだ明るいと感じるには十分すぎるステージであった。

Photo by コマツトシオ

Text by キムラアカネ