凝縮されたグルーヴと、涼しい空間
トラックメイカー/シンガーソングライターであるYota Moriによるソロプロジェクト、Acidclank。今回はSolo Acrid Setでの出演となる。どすこいステージの晴天のもと、飾り気のない装いで、モジュラー・シンセを前に俯く姿があった。
ミニマルでくぐもったビートを基軸に、ガラス細工のような音の粒子が組み上げられていく。ダウンテンポな音像に包まれた空間には、清涼な陶酔感を与えてくれた。涼しい。クラブで聴きたいやつと切に思った。その水中を思わせる丸みの帯びた音像の中で、オーディエンスはわずかに身体を揺らし漂っている。
30分という短いタイムテーブルながらも、冷たく穏やかなグルーヴに十分浸れる構成だった。終盤に差し掛かったところの、つんのめったビートの襲撃と、水面を漂うアンビエンスなウワモノが絡まった展開は、オーディエンスの気持ちを、ナノボロを楽しめるよう送り出してくれるかのように聴こえた。
Photo by 瀬藤育
Text by 増井