Acidclank(Solo Acrid Set)

ナノボロ2022
ナノボロ2022

凝縮されたグルーヴと、涼しい空間

トラックメイカー/シンガーソングライターであるYota Moriによるソロプロジェクト、Acidclank。今回はSolo Acrid Setでの出演となる。どすこいステージの晴天のもと、飾り気のない装いで、モジュラー・シンセを前に俯く姿があった。

ミニマルでくぐもったビートを基軸に、ガラス細工のような音の粒子が組み上げられていく。ダウンテンポな音像に包まれた空間には、清涼な陶酔感を与えてくれた。涼しい。クラブで聴きたいやつと切に思った。その水中を思わせる丸みの帯びた音像の中で、オーディエンスはわずかに身体を揺らし漂っている。

30分という短いタイムテーブルながらも、冷たく穏やかなグルーヴに十分浸れる構成だった。終盤に差し掛かったところの、つんのめったビートの襲撃と、水面を漂うアンビエンスなウワモノが絡まった展開は、オーディエンスの気持ちを、ナノボロを楽しめるよう送り出してくれるかのように聴こえた。

Photo by 瀬藤育

Text by 増井