積み重ねられた、芳醇なバンド・サウンド
すっかり日が沈み、秋の肌寒さが感じられる頃。残り2組となったORANGE SIDE STAGEに登場したのは、インストゥルメンタル・バンドのtoe。本ライヴでは、インスト曲と山㟢廣和（gt.）自身によるボーカル曲を織り交ぜたラインナップだった。
Yung Splash「Love Hurts」のSEのなか、山㟢がひとり静かに登場する。ゆったりとアコギを爪弾きながら「最後まで楽しんでってください」を合図に、他のメンバーも一斉にステージへ。続けざまに披露した代表曲「グッドバイ」を皮切りに、高揚していく気持ちがこぼれ出していく。
曲間には、少しの間を置きつつも、あまりの卓越した演奏に畳みかけられた感覚が残った。飾り気のない、積み重ねられた芳醇なバンド・サウンド。はじめは息を吞み、見守っていた会場も、終盤には身体を思い思いに揺らし、なかには激しく頭を揺らしている方も伺えた。「エソテリック」で会場のボルテージは最高潮に。この日一番の大きな拍手が〈KBSホール〉に響いた。
「また呼んで下されば来ますので、今日はどうもありがとうございました」と、エレクトロと生楽器が艶やかに交じり合う「F_A_R」を残し、会場をあとにした。
