街の底に咲いた1輪の花
「バンドをやる上で憧れのイベントはあまりないけれど、ボロフェスタだけはほんまに出たかったです」。ライヴ冒頭、木村健人(Vo&Gt)は、超満員の街の底 STAGEに向けてこう語った。フロム京都のスリーピースバンドであるhananashiは、ボロフェスタに出演できた喜びを京都で培ってきたアンサンブルに乗せて、血流も速くなる熱演を繰り広げた。
「知ってる人や仲間が大切な今日を見届けてくれることが嬉しいです。顔の見える活動をしてきて良かったなと思います」と語ってドロップされた「セイタカアワダチソウ」は圧巻の一言。桜でも向日葵でもなく、決して派手ではないモチーフを選択するのも”華無し”を冠する彼ららしい。しかし、ずっと歌い続けてきたhananashiの三重奏は、路傍の花が地下深く根を張るように生命力をみなぎらせている。だからこそ、加速するビートの中で宣誓された「ここで咲こう」の一節は砕けないものであったし、「少し先から」のプレイ中にシャウトされた「何回も何回も<nano>で歌ってきたんだ!」のメッセージは強く響いた。来年は大きいステージでいっそう大きな花を咲かせてくれ!
Text by 横堀つばさ
Photo by 定藤孝徳