変幻自在のブラックミュージック
京都の大学のジャズ研を中心に結成された、ヒップホップ・バンドBlack petrol。石若駿氏率いるバンド・SMTKにフックアップされるなど、ファンからもアクトからも歓迎されている、アップカミングなコミュニティだ。ステージ上の彼らは、ほとんどオーバーサイズな装いで統一され、一層共同体としての印象をもった。
蛇を思わせるような重厚な低音を軸にグルーヴを積み上げていくスタイルで、リズムの妙を感じる瞬間が多々あり、フリーキーな拍の展開が縦横無尽に刻まれ、混沌としたアンサンブル、うねりを生み出していく。この音像の上を、自由に乗りこなすヤンチャなライミングの耳馴染みが心地よい。熱帯雨林の中をかいくぐっていくような、スリリングさがあった。
MCの中で大阪へ引っ越したこと、京都で過ごした過去についての言及があった。河原町の周辺で路上ライヴを行い、度々警察に追われていた時間を名残惜しそうに語る。そして、いまKBSホールというデカいステージに立てることに謝意を表し、暑い暑いグルーヴを鳴らしライブを完遂した。
Photo by 瀬藤育
Text by 増井