ロックン・ロールを響かせろ！
ついに彼らがやってきた…！
フロア全体がKANG SIGH HYPER CREWのアツい余韻冷めやらぬ中、ORANGE SIDE STAGEにはボロフェスタ初出演のTHE BAWDIESが登場。「お祭り前の準備運動だから、もうちょっとだけいいですか？ 」とROY（Vo&Ba）もお客さんと対話し、リハーサルから全力でぶちかましている。様々なジャンルのアーティストがカオスに入り混じっている、これもまたボロフェスタの醍醐味だ。「すぐ戻ってきまーす！」という言葉通り、裏へはけてから1分経たずでSEがかかると、会場は手拍子で包まれた。楽器を持つ前、スーツのジャケットを着る前からメンバー全員で盛り上げている姿を観て、「ああ今年、ボロフェスタで彼らを観れてよかった！ 」とライヴが一層楽しみになる。
「お祭りごとです！ 初めての人も安心して下さい！ でもその前に腹ごしらえ、“HOT DOG”召し上がれー！ 」と色褪せることのない名曲「HOT DOG」からスタート。お祭りの“打ち上げ花火”の勢いそのままに、「YOU GOTTA DANCE」「LET’S GO BACK」と続ける。彼らのライヴを観てすぐに思ったのは、TAXMAN（Gt&Vo）、JIM（Gt&Cho）のギター陣2人がとにかく動き回る！ ということだ。全力で歌い、お客さんと笑顔で目を合わせ、指差しをし、フロアに手を振る。間違いなく彼らのグルーヴ感の醸成に繋がっているだろう。
「皆さんお気づきかもしれませんが、我々のロックンロールは参加形で、1番を聞いたら2番3番も歌えるそういう仕組みになっている」というROYのMCでは、会場から笑いも起こる。ロックン・ロールな魅力だけではない、彼らの人柄も垣間見える瞬間を目にし、心も温まった。「とりあえずやってみましょう！」と「RIDE TOUGH!」、2023年リリースの最新曲「GIMME GIMME」等を続け、クラップと大合唱が巻き起こっている。安定したリズムを淡々と、時に熱く刻んでいるMARCY（Dr&Cho）も、気づけばジャケットを脱いで汗だくだ。
来年“結成20周年・デビュー15周年”のアニバーサリー・イヤーを迎える彼ら。「今日は初めての人も沢山いらっしゃると思うけれど、若手にバレないように、スーツを新しくしてみたり、髪型変えてみたり。僕たちわりと、結構、ずっといます。」と茶目っ気たっぷりで話し、「まだまだ転がり続けていきますので、何か足りないな元気足りないなってときは転がり込んできて下さい。我々が元気にして返します！ 」と高らかに宣言したROY。ロック・シーンの第一線で、音を鳴らし続けてきた彼らの確かな自信が見て取れる。
「T.Y.I.A.」そしてラストの「JUST BE COOL」まで、誰ひとり置いていくことなく、ボロフェスタというお祭りで全身全霊のロックン・ロールを響かせてくれたTHE BAWDIES。どんな場所でも空間にいる人たちを元気にして返してくれる。最後は全員が深いお辞儀をしてステージを去る姿も最高にカッコよかった。
彼らの積み重ねてきた実力、そして、ひとことでは言い表せない魅力が、随所に見られたライヴだった。これからの時代にも彼らの音楽がまだまだ必要だ。
Text by キムラアカネ
Photo by shohnophoto
