キュウソネコカミ

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

音楽を鳴らし続けてくれ

2日目のORANGE SIDE STAGEのトリを務めるのはキュウソネコカミ!リハでは「最後まで残ってくれてありがとー!!今からやりますけどついてこれますかー!!」と本番さながらに「Welcome to 西宮」を元気よく演奏し、早くもヤマサキ セイヤ(Vo&Gt)がフロアにダイブ!続いてヨコタ シンノスケ(Key&Vo)が「今日11月4日はいい推しの日なのにセトリに入れ忘れました!」と話し、リハに「推しのいる生活」をねじ込んだ。オーディエンスそれぞれが推しを脳裏に思い浮かべながら、「わっしょい!わっしょい!」と合唱した。

ステージが赤に染まり、本番が始まる。客の手にタッチしながら登場したヤマサキ。1曲目「私飽きぬ私」で熱くライヴが展開される。2番の歌詞あたりで、カワクボタクロウの代理を務めるサポートの木原潤(Ba)が前に出つつもしっかりとボトムを支えた。ヤマサキはまたダイブし、「歌おうぜボロフェス!暴れに来たんだろ?」とフロアに何度もダイブした。続けて「ビビッた」ではモッシュが起き、フロア最前が顕著に熱気に包まれはじめた。「ジャンプ!」とヨコタが叫べば客はジャンプし、再びのモッシュで客のテンションが高まっていく。

「スマホ、依存してませんか?」というヨコタの問いかけから「ファントムヴァイブレーション」がスタート。「スマホはもはや俺の臓器」(”ファントムヴァイブレーション”の歌詞より)とヨコタの掛け声に合わせて客も歌い、コールアンドレスポンスで一体感を高めた。「盆踊りやりましょう!」と、「KMDT25」。フロアの中央に客を呼び寄せ、ぐるぐると客が肩を組んで回りながら楽しそうな姿があった。

セイヤは「まさかボロフェスタのトリを任されるとは思いませんでした。いちばんかっこいいバンドを目指したいと思います!この曲あんまやってないけどやります。だってボロフェスタはやりたいことやるフェスだからね」と、「わかってんだよ」を汗を飛ばしながら歌い、オカザワカズマ(Gt)もまた熱いギターを響かせる。続く「DQNなりたい、40代で死にたい」ではヨコタのキックが自分の弾いているシンセに届かんばかりのアグレッシブなアクトでバイブスを上げていく。「1つ言いたいのは ドン〇ホーテは貴様らのたまり場ではないぞ!」(”DQNなりたい、40代で死にたい”の歌詞より)まで歌い終わると、ヤマサキはギターを置き、「どこ来てほしいんだ」と客を煽る。「筋斗雲こい!!」とお馴染みのアイテムを呼び寄せると、「支えてないやつも声あげろ、ゆらせ!」と着ていた白のTシャツを脱いだ。そのまま前に一回転してステージに戻っていく。KBSホールのミラーボールが回りORANGE SIDE STAGEが即席のダンスフロアになる。上半身裸のヤマサキがサビで熱唱し、客席は興奮の渦中にたたき込まれる。

客が我を忘れて踊ったのを心配したヨコタが、「ケガしてない?落とし物してない?」と案じつつも「このままいきましょう!!」と熱を冷めさせない。「ボロフェスタは目当てのバンドがいなくても楽しいフェスじゃないですか!来年からもずっと遊んでてください!ボロフェスタが続いていくように願いを込めて1曲いきます!!」と「ハッピーポンコツ」をキュウソらしいポップさで演奏する。ヤマサキは上半身裸に赤いギターが映えていて、ロック・スターを体現していた。そして、「ハッピーポンコツ」でKBSホールの大きなステンドグラスが開帳されるのだが、「全人類に広まれば ハッピーポンコツインザワールド」(”ハッピーポンコツ”の歌詞より)といったサビのタイミングでなく、「お開き!!(ё)」で茶目っ気たっぷりに開帳されるのがとてもキュウソらしい。「ボロフェスタ最高ですー!ありがとうございましたー!」と壮大なステンドグラスを背にして感激するヤマサキ。「西宮のキュウソネコカミでした!」とヨコタは手を高くフロアに向けて振った。

あまりに素晴らしいライヴアクトだったため、すぐにアンコールが沸き起こる。再び登場したキュウソは、「最後の最後だぞ!!かかってこいよ!!!」と叫び、「The band」をチョイス。「ロックバンドでありたいだけ」(“The band”の歌詞より)とストレートに歌って振り絞るように演奏する彼らを見ていると、「ライブが見れるの最高だね」(”The band”の歌詞より)の部分でいつも泣きそうになる。アウトロではソゴウタイスケ(Dr)のドラムソロにスポットが当たり、手数の多い華麗なドラムに歓声があがった。

「またこの場所で会いましょう」と最後の最後に話してくれたように、またここボロフェスタでキュウソネコカミというロック・バンドに出会えることを願いたい。私たちが願い、彼らが音楽をどういう形であれ鳴らし続けてくれるのなら、絶対にまた会えるはずだから。

Text by 松下愛

Photo by ウチダミサキ