ウクライナを支援する意思表示の大切さ

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

意思表示のためにもっと心を開いてみよう

ボロフェスタでは昨年からウクライナを支援する意思表示が大きな力になる取り組みを続けている。

ウクライナの首都であるキーウと京都市は姉妹都市であり、京都で長年音楽のイベントを続けているボロフェスタとしてできることをしたいと、今年もトークセッションの場を設けている。

“ウクライナを支援する意思表示の大切さ”をテーマに、2022年5月よりウクライナから京都市へ避難されているマーク・シェリャグさんとオクサナ・リホタさんを迎え、ボロフェスタ主宰の飯田仁一郎は司会として、ボロフェスタスタッフの坂本肇は意思表示する難しさを我々に写す鏡として登壇した。

ウクライナ出身のおふたりと支援の意思表示を伝えるための手段としてチャリティーデモに参加した坂本の話を聞くまで、私は“ウクライナを支援する意思表示の大切さ”について、“大切さ”というものは理解できていてもどこか概念的な理解だったことに気付かされた。

まず、ウクライナ出身のおふたりから2年目のリアルが伝えられた。
それは日本で報道されるニュースではカバーしきれないウクライナの日常のことだった。
オクサナ・リホタさんは日本に避難しながらもウクライナの会社にリモートワークで勤務している。リモートワークのミーティング中に、ミサイルを知らせるサイレンで、ミーティングが中断することはしばしば起こり、その度にオクサナ・リホタさんは「日常になってきてしまった」と心を痛めると言う。

支援の意思表示を伝えるための手段としてチャリティーデモに参加した坂本は、その時の実体験とそれを経て、我々日本人にできることを考え、話してくれた。
坂本の実感として、デモ活動参加の際に、日本人は“デモ”と言うと、その響きの強さから素通りする者が多かったようだが、京都に観光に来ている外国人は募金という行為まではしなくとも、サムズアップ(こぶしを握り、親指を立てて上に向ける動作)し、ウクライナ支援に意志表示をくれたという。
そして、日本人は“ウクライナに支援したくない”または“無関心”という訳ではなく、“意思表示が難しい”のだと、自分自身も思ったそうだ。

日本人が抱える“意思表示の難しさ”について、ウクライナ出身のおふたりは意思表示をしないと上のほうだけで大きく世界は動いてしまうと警鐘を鳴らし、意思表示する行動が難しければ情報を取得し続けようと訴える。
警鐘を鳴らすだけでなく、オクサナ・リホタさんは、日本人の若者にかかる“建前”を重んじるプレッシャーを気にかけ、マーク・シェリャグさんも心を開けて話していいと言ってくれた。

私も、自分の心の内をうまく話せず建前になってしまうことで、自分の中に感情が溜まりすぎてさらに話せなくなってしまうことがよくある。
そうなっている時の私は、自分自身にしか関心が向かなくなり自分基準の“平和”を送りたくて、世界のことを知ろうとしていないことに気がついた。

ボロフェスタでは今年もテキヤブースの売上の一部を寄付するほか、フード店舗ではチャリティーメニューの提供、開演中は避難民の方への募金活動を行っている。

Text by 小池迪代

Photo by 吉田結衣