神聖かまってちゃん

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

病めるときも健やかなるときも、神聖かまってちゃんを聴いていたい

「ボロフェスタ13年ぶりなんだって!神聖かまってちゃん、ぶちかましていくんでよろしく!いえーい!!」との子(Vo&Gt)が叫び、客席にも「いえーい!!」の声を求める。
のせるだけのせて「うるせぇ」と言うの子に、「理不尽!」とみさこ(Dr)のツッコミが飛んだ。リハーサルから絶好調だ。

いよいよ本番が始まると、の子は指揮をするような手振りでステージを歩く。1曲目に演奏されたのは「るるちゃんの自殺配信」。
手を上げて一緒に歌うオーディエンスへ、mono(Key)が手拍子を煽る場面も。ユウノスケ(Ba)は、微笑みながらも時折真剣な表情で曲のボトムを支えた。

「あっちぃよ!お前ら!11月だぜ!お前らの熱のおかげだよ!!」との子が話せば、monoも「お前たちの気温は何℃だ?100℃以上あるだろ!」と会場をヒートアップさせる。
「イエーイ!ぶちかましていこうぜ!このご時世とかいろいろと!お前らもそうだろっ!ぶつける曲やります」と、の子は「グッドナイト流星群」をアクト。
被っていた黒髪のロングウィッグを捨て、サビやアウトロで中指を立てた。

「KBSには思い出が2つある」という。
1つは「男子トイレでクリトリック・リスのスギムと隣になり、可愛いねと言われたこと」との子が話すが、monoがすかさず「ロクな思い出じゃねぇ」と笑う。
もう1つは「お亡くなりになる前にフジファブの志村さんに会ったこと」と、対照的なエピソードを披露した。
汗を垂らしながらの子は「お前らの顔を思い出す。死んだやつもいっぱいいると思うけど、生き残ったやつもいっぱいいるだろ!」とオーディエンスに向かって叫ぶ。

不穏なイントロで始まる「僕の戦争」では、ステージが赤く染まり、サビで拳を高く掲げる大勢の観客の姿。
数時間前に「バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI」でライブしたばかりとは思えないほど、エネルギッシュにシンバルを叩くみさこ。

の子はステージの端から端まで大きく動き、絶叫する。
「京都!こんなもんじゃねぇだろっ!!ボロフェスタ!社会でボロボロになった気持ちを叩きつけろっ!!!」と、の子は感情を爆発させる。
monoのシンセが美しくも煽情的に曲の輪郭をなぞっていく。

そして「フロントメモリー」をみんなで大合唱しながら汗だく、もみくちゃになる。
「先の夏さまた Say Yeah! Yeah! Yeah! Yeah! Yeah!」(”フロントメモリー”の歌詞より)で曲の終わりが近づいていると思うと、楽しさと同時に寂しくもある。

の子も同じ気持ちなのか、演奏後に1人で「いかれたNeet」を歌いはじめ、出演時間が終了したにも関わらずまだ観客と一緒にいてくれようとするので、ユウノスケやスタッフに引き留められる場面も。最後の最後まで気持ちを届けようとしてくれた。

Text by 松下愛

Photo by リン