終わらない青春
良く晴れたボロフェスタ2023の1日目。始まったばかりにもかかわらず、すでに会場は大盛況だ。マエダカズシ(Vo)のアカペラで、前バンドのズーカラデルから一気に視線がGREEN SIDE STAGEへ。一瞬で彼らの雰囲気に引き込まれ、後ろにいたオーディエンスも思わず前に詰める。もちろん筆者も例外ではない。そんな彼らは「最強のジャパニーズソング」を歌いに来た関西の4人組ロックバンド、フリージアン。ナノボロの出演経験はあるが、ボロフェスタ本祭は今年が初出演である。
途中のMCで「“やっと”立てて嬉しい。音楽を続けていてよかったです」と何度も噛みしめている様子も印象的で、ステージを縦横無尽に暴れながら。懐かしい青春を感じさせる歌詞、まっすぐで芯のある歌声を届けるマエダと、安定的で爆発的なメロディラインを作り上げる隆之介(Ba)、MASASHI(Gt)、たなりょー(Dr)の圧倒的信頼感を感じさせるステージは、最初から最後まで我々を掴んで離さなかった。
「仰げば尊し」から次々と繰り出す楽曲に続いて、大事な歌だと話す「サトラ」。1年かけて制作したというこの曲を、マエダはハンドマイクをスタンドマイクに持ち替えて、ひときわ魂を込めて歌う。そんな彼らの姿に、我々の拳を突き上げる力もよりいっそう強くなっていく。
最高のラブソング「お願いダーリン」で愛を叫び、ラストは代表曲「悲しみの全てが涙ならば」で日常のやるせなさをすべて吐き出した。1日目の12時35分。まだまだボロフェスタは続いていくが、私達の等身大の気持ちをすべて表現しつくしてくれたような満足感に包まれてフリージアンはステージを最後にした。
「悲しみの全てが涙ならば 流れてしまえばそれで済むのに」（”悲しみの全てが涙ならば”の歌詞より）
あの合唱が、拳が、目に焼き付いて離れないでいる。
text by 大井優
Photo by ウチダミサキ
