nayuta

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

乾杯は「いやさか」で

終演が近づき、1日の体力補給にとKBS食堂が大いに賑わいを見せる20時に、どすこいSTAGEにはトリ・nayutaが登場した。

宮本章太郎(Vo&Gt&Dr)と淡路翔子(Vo&Gt&Syn&Per)の夫婦2人からなるnayutaだが、一見すれば分かるように使用する楽器は多岐に渡る。右足でバスドラムを、左足でハイハットを演奏し、ギターを弾きながら歌う宮本は、リハーサルの時点から「そんなことが出来るのか?」というオーディエンスの驚きに満ちた視線を浴びていた。

1曲目が始まる前に嬉しいお知らせが。なんと、活動20周年を記念したワンマンライブの開催が決定したのだ! フライヤーを配り終えたロビーは、すっかりnayutaが生み出すおおらかな空気に満ちていた。

淡路と宮本のアカペラから満を持してスタートした「hippo attack」では、「どすこい」コールが巻き起こり、続く楽曲でも宮本の歪んだギターサウンドと淡路の柔らかさを帯びたシンセサイザーがロビーを満たす。

3曲を終えると、突然「“乾杯”の代わりに“いやさか”でお願いします!」と淡路が叫び、“いやさか”での乾杯を促す。しかし、1度目は不発。“いやさか”が“幸あれ”を意味する言葉であると説明した後に、行われた2度目の”いやさか”は、オーディエンスからも大きな声が上がった。

宮本が客席へと降りてギターを弾いた最終曲「quiet sun」は、間違いなくハイライトに入るシーンだった。ギターを弾きながら観客と会話し、ボロフェスタへの感謝と喜びを心のままに口にした宮本の歌声は、どこまでも鳴り響いていた。

アイコンタクトを交わす淡路と宮本の笑顔が伝染し、全編を通じて笑いが絶えなかったnayutaのライブ。あっという間に過ぎ去ってしまった1日目を振り返りながら、2日目に期待を寄せた。

Text by 横堀つばさ

Photo by 瀬藤育