大団円を迎えたボロフェスタ2023
入念かつ丁寧にサウンドチェックを行い、リハで早速「Honnoji」を演奏するとフロアからは拍手と歓声があがる。「じゃあまた来年お会いいたしましょう」としっかり向井秀徳節で締めていったん裏に捌けると、今度は拍手と笑いが。MC土龍の挨拶を挟み、「MATSURI STUDIOからやってきました、ZAZEN BOYS」ついに〈ボロフェスタ2023〉大トリのZAZEN BOYSが登場だ。
「暖簾をくぐったらね、とりあえずボウルいっぱいなポテトサラダが食いてえ！」と叫び、「ポテトサラダ」からライヴはスタート。吉兼聡（Gt）の鋭いカッティング、激しく頭を振りながら低音を刻んでいくMIYA（Ba）、特徴あるサビのリズムとピッタリ合っている松下敦（Dr）の叩く音。向井秀徳（Vo&Gt&Key）は「山盛りのカニが食いてえ」とダブル・ピースでコミカルに動き、さすがのライヴ・ワークだ。あくまでも自然に動いているように見える身振り手振り、指先にまで音楽が詰まっている。
「真っ黒けっけの野良猫のお話をこれからいたします」と「This is NORANEKO」、「毎日毎日がウィークエンドだったらいいなあ〜って歌でございます」と「Weekend」などを続け、緩急ついた流石の魅せ方で観客を魅了していく。「ZAZEN BOYS・MATSURI STUDIO・キョウトシティ・ボロフェスタ」と何度も呟く向井。
チューニング中にビールを流し込み、「新曲バラクーダをとりあえず一度皆さんに視聴していただきましょう」と「バラクーダ」、そして「チャイコフスキーでよろしく」と今度音源化される新曲を続けて披露。そして、「CRAZY DAYS CRAZY FEELING」では、MIYAのバチバチのベース・ソロをバックに、サングラスとキャップを装着しロボットダンスで動き回る向井。「くりかえされる諸行無常 よみがえる性的衝動」、自然とこちらも体が揺れ、生きている音楽ってこういうことなのか、という気持ちにさせられる。
「何度も呼んで頂いています、京都ボロフェスタの皆さん。長い付き合いでございます」とボロフェスタへの感謝を述べ、残りのビールを一気飲みした向井。ラストの「永遠少女」では、各々の個性溢れる演奏スタイルで楽器が鳴らされ、トリに相応しい圧巻のパフォーマンスだった。アンコールでは「はあとぶれいく」を披露し、終始ZAZEN BOYSワールドを炸裂させた45分間。「来年早々に新たな作品を皆さんにお届けすることができると思います」という向井の言葉通り、来年1月に約11年ぶりのニュー・アルバム『らんど』のリリースも発表された。私たちはまだまだ彼らの刺激が欲しくてたまらないし、ボロフェスタにも何度だって来てほしい。彼らが音を鳴らし続ける限り、何度だって目撃したいのだ。
Text by キムラアカネ
Photo by shohnophoto
