一瞬で圧倒的なステージ
モットーは「セックス・しば漬け・ロックンロール」。リハからすでに爆音のパンクロックをかましていたのは、京都発、恋のルサンチマンをショートチューンで八つ当たりする、いてこまスマッシュ・ヒステリックハートビート・どすどすどすえ系バンドおとぼけビ～バ～。今やワールドワイドに活躍する彼女たちの前には海外の方と思われるお客さんがひときわ多く感じた。
一曲目は「ヤキトリ」から。ショートチューンが特徴的なおとぼけビ～バ～だが、何といっても一つ一つのインパクトが強い。「サラダ取り分けませんことよ」や「孤独死こわい」など、タイトルコールではその曲名にフロアから驚きを込めた笑いが起きるも、曲が始まると観客の目はその圧倒的な演奏力と完成度にくぎ付けだ。
中盤のMCでは、「毎年呼んでいただいてありがたいですね」、「サイドステージですけど」あっこりんりん(Vo)とよよよしえ(Gt)。自らを永遠のサイドステージと話すおとぼけビ～バ～。上品で、流暢な京都スラングは世界を飛び回る今も健在である。KBSホールの代名詞でもあるステンドグラスにも触れ、「最後ステンドグラスが開くんですけど、後ろで睨んで見てると思います」とあっこりんりん。フロアからの笑いとは相対して、次は絶対にメインで出るという決意がビリビリ伝わってきた。
ラストの「あなたわたし抱いたあとよめのめし」まで35分で15曲。一息つく暇もなく、パンクロックが駆け抜けていった。曲終わり、中指を立てる姿がこんなにも美しいと感じるミュージシャンを、私はおとぼけビ～バ～以外他に知らない。
気持ち良すぎるスピード感とパワーに圧倒されすぎて、最初から最後まで何が起こったかわからない、ただ、目の前で行われていたものすごいライブであったということだけは脳が理解している。
Text by 大井優
Photo by リン
