耳を澄まして、聞き入りたくなった。
ボロフェスタ2日目、どすこいSTAGEのトリは高山燦基がバンド・セットで登場。
ボロフェスタ2023のMCであり、主催者の土龍は前説で「ボロフェスタが推している京都のアーティストです」と太鼓判を押した。
高山はアコースティックギターを抱え、染み渡るような繊細なファルセットでメロディアスに歌い上げていく。
バンドセットは、サックスとキーボードにBlack petrolとしても活動する2人を迎え、セッション的に音楽が奏でられていく。
ドラムはスティックブラシを使い、柔らかな音でリズムを紡ぎ、ベースは湖辺のように穏やかで、高山の揺らぐような声を支えていた。
2曲目の「シャボン玉」ではアコースティックギターとサックスのあたたかな音色のさなか、シャボン玉が突然割れてしまったような乱れたセッションにハッとする瞬間もあった。
MCでは「ボロフェスタに出れて嬉しいです」と飾らない言葉で伝えると、あとは粛々と良い音楽を届けていく。
純粋で、どこかさみしくて。でも冷たくはない。そんな音楽。
耳を澄まして細部まで聞き入ってしまうような、夜の始まりにぴったりの音楽だった。
Text by 奥野ひかり
Photo by 吉田結衣
