seaketa

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

繋がる音符、繋がる人

終電の時間が過ぎた頃の飲み屋街や繁華街、そしてライヴハウスには、どことなく仲間意識が漂っているように思う。それは「もう帰れない(帰らない)」という一点で。24時過ぎ、一蓮托生となった観客の前に現れたのはseaketaだ。

Kumo communicationを主宰し、今年に入ってからも『きっと途中』のリリース、旧音源『(archive ~9/12/2018)』、『saya (archive ~7/23/2019)』の発売など、精力的に活動しているseaketa。

Summer Eyeが作り出した人懐っこいステージを受け、「みんなが知らん曲やります」と走り出そうとしたseaketaのプレイングは、機材トラブルで一時中断。
しかしながらすぐさま観客から応援の声が上がり、彼が過去ボロフェスタのスタッフとしても関わっていたことから、深く愛されていることを証明する。

無事にライヴが始まると、高速のビート、ループする電子音、無音と爆音の断続的な連鎖が、オーディエンスを恍惚とした表情へと変えていく。

一聴するとバラバラに聴こえる音たちを、ハウリングさえも使いこなし、連結させ、道筋を作り、物語を創造する過程は、これが”DJ”ということなのかもしれないと思わされた。

そろそろ多くの人が寝静まる頃。しかし、まだまだこれからMETROの夜は更けていく。フロアには、日本語以外の言語を話すオーディエンスも多く見られた。「音楽は国境を超え、誰もを一つにする」こんな言説は幾度となく繰り返され、悲しくも、強く肯定はなされていない。しかし、「音楽の力は確かにある」。彼のライヴはそう確信させてくれる30分だった。

Text by 横堀つばさ

Photo by 石橋充