踊れ踊れ!ここで産まれるミュージック
サード・アルバム『See-Voice』の収録曲「海鳴り」のMV制作を担当するなど親交の深いseaketaからバトンを受け取って、1時前のFRONT STAGEには、パソコン音楽クラブがオン・ステージ。多くの人がお酒を酌み交わすフロアは、自由に歩き回るのが難しいほどパンパンだった。
この賑わいは確かに、10月にキュートな宇宙人がデザインされたニューEP『For The Aliens』を、”レコードの日”の11月3日に4枚目のアルバム『FINE LINE』のLPを、立て続けにリリースしたばかりであったことも一因だったのかもしれない。
しかし、ステージへと熱視線を送るオーディエンスからは「今か、今か」という強い期待を感じることができた。
「これから音楽を作っていきます」という音声で幕を開けた1曲目は、まさしく『FINE LINE』の収録曲「PUMP!」だ。chelmicoをフィーチャリングに迎えた同曲が、柴⽥碧と⻄⼭真登の2人で演奏するとこうも違った様相を見せるのかと驚く。
MCも少なに演奏された楽曲たち。重厚なキーボードが聴こえてくると思ったら、今度は重低音が内臓を揺らす。電話のコール音のような音声やAIボイスのような声が鳴り、全ての音を一度で分かりきるのは難しいのではないかと思うほど、豊かで楽しい音楽がMETROに響いている。
飛び跳ねる2人とオーディエンスが、フルボリュームの音楽の周波に起因する振動だけではない、大きな揺れを生み出す。白色の照明が2人を照らすと、その刹那光はフラッシュのように切り替わり、ステージ上の彼らの姿がコマ送りの映画になった。
続いていく毎日と探訪の旅を歌った「Day After Day」でライヴにピリオドが打たれる。ふと気づくと体は汗でびっしょり。それがパソコン音楽クラブのステージの盛り上がりの証だった。
Text by 横堀つばさ
Photo by 石橋充