思い思い。しかし、確かな一体感
街の底STAGEでモラトリアムの演奏が終わる頃、いよいよどすこいSTAGEもスタート。
これにて全4ステージでの演奏が始まり、ボロフェスタの幕は完全に上がりきった。
トップバッターを務めたのはKENT VALLEY。
4人編成でのライヴとなった今回は、Sawa Angstromの吉岡哲志と児玉真吏奈がシンセサイザーを担当し、ギターは幽体コミュニケーションズより吉居大輝が参加。KENT VALLEYこと谷健人が、Superfriendsとして活動していることも踏まえると、全員が異なる形式でボロフェスタに参加しているアーティストであり、ボロフェスタを象徴するような編成、そして演奏だといえる。
ライヴはメロディアスなベースが特徴的な「Belling Cat」からスタート。続く「Hop along」から今年リリースされた「HALL-ROLL」へかけてクラップの嵐が巻き起こる。座りながら観ている人や物販を眺めながら耳を傾けている人、ドリンクを飲んでいる人、記録に収めている人、オーディエンスが思い思いの楽しみ方をするなか、確かに生み出されていた一体感。それはひとえに、KENT VALLEYの楽曲たちが持っているポップなリズムとメロディーによるものだろう。
児玉とのフィーチャリング楽曲である「TOO MUCH TIME」では、ダンサブルなビートに合わせて、2人の声が混ざりあう。繰り返される「too much time」のフレーズは、どこか哀愁を帯びながら染み渡っていった。
最後の楽曲「Blueworks」が鳴り終わるまで、「楽しんでください」と伝え続けていたKENT VALLEY。そんなメッセージが刻まれたどすこいステージで、これからどんな物語が生まれるのか胸が踊る。
Text by 横堀つばさ
Photo by 吉田結衣
