浪漫革命

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

此処京都で鳴らす“浪漫革命”の現在

11月だがポカポカ日和の〈ボロフェスタ2023〉1日目。お昼時を迎えた会場は、いま鳴る音楽にワクワクしているたくさんの人で、ホール内も野外スペースもワクワク感で溢れている。早くも、これぞお祭り! といった雰囲気。そんななか、もはやここは彼らのホームで、ボロフェスタには欠かせないバンド・浪漫革命がメンバー全員手拍子しながら登場だ。
さっそく鈴の音と太鼓の音が響き渡り、藤澤信次郎(Vo&Gt)が右拳を掲げながら「いくぞぉー! 」と叫び始まったのは「KYOTO」。ついにボロフェスタ本編で、ここ京都で、この曲を聴くことができる。この特別感に胸がドキドキしたオーディエンスも多いだろう。「連なる僕らの道を千鳥足で歩いていくだけさ」という歌詞も含め、京都で生活したことがある人、とりわけ、ひと時の学生生活を送った人には痺れるであろう楽曲だ。「アイラブユーキョート! 僕らの京都! 愛してます京都! 」彼らほどこの言葉が似合うバンドはいないのではないか? 地域に根ざし愛され続けてきたこの〈ボロフェスタ〉で聴くこの楽曲は、何だかいつもよりキラキラ輝いて聴こえる。

その後続いて演奏されたのは最新曲の「ゆ」。ゆったりした曲調にのせて歌い上げる情景を思い浮かべると、ついつい銭湯に行きたくなる。彼らの曲は日常でふと聴きたくなるし、帰り道寄り道をしたり、適当に口笛を吹いたり、そんな素朴な日常が愛おしい。会場が“湯上がり”気分になったところで、思いっきり音を鳴らし何か始まる予感とともに、「ラブストーリー」が始まり、一気に駆け上がっていく感覚を覚える。大池奏太(Gt&Cho)のコーラスと、楽器陣のキメが心地よくハマっていて、オーディエンスも両手を挙げて揺れている。

そして、あのリズムが刻まれ、全員が楽器を置いて前に出てくると、「今日は何曜日〜? 」というお決まりのセリフが。ついに本日1つ目の転換点、「月9」が始まった。浪漫革命はボーカル以外も全員歌い、ラップを刻み、サビでは全員がジャンプし(体力も消耗し)、いまこの瞬間を楽しむバンドなのだ。この曲はメンバー同士の掛け合いも見られ、彼らの実に多彩な一面が見られる。フロアをしゃがませ、手を左右に振り、会場の熱気はすでに最高潮! MCでも会場の掴みは完璧だ。「ようこそ京都、ただいま京都!」最近拠点を京都から東京に移した彼らが、バンド結成当初から出演したかったという〈ボロフェスタ〉への溢れんばかりの愛を語った後、イントロの後藤潤一(Gt)と大池のギター陣のメロにリズム隊・藤本卓馬(Ba&Cho)の安定感とTOY(Dr&Cho)の力強さが加わり、始まったのは「ひとり」。優しい雰囲気のメロディーに歌声が合わさった時、藤澤の伸びやかな歌声が際立つなぁ、と改めて感じさせられる。

代表曲「あんなつぁ」では生活を謳い上げてオーディエンスも巻き込むと、先程の「月9」とは異なる一体感が生まれる。しかし、それらは全て彼らが作り出すことのできる色んな景色であり、そんな引き出しの多さも良い。続く「ふれたくて」では心地よい高音と緩急のある音、「君にふれたくて ずっと愛しているよ ぼくの歌を聞いてくれよ この先も」と、どストレートに、素直に、シンプルに愛を綴る。後藤のお洒落なギターソロパートや最後全員でキメを揃えて終わる感じも彼らの良さを引き立てている。最後の曲となった「楽しい夜ふかし」ではオーディエンスに手拍子を求めたり、コールアンドレスポンスを求めたり。一緒に歌おう! とライヴを通して色んな盛り上げ方を繰り出す彼ら。
これからも、いえーい! と一緒にお決まりのピースで、彼らとハートフルな空間を共有して夜ふかしできたらそれで良い。京都を離れたとしても、此処はこれからもずっと彼らのホームであり続けるだろう。

Text by キムラアカネ

Photo by 石橋充