サニーデイ・サービス

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

ロック・スターの貫禄

リハーサルから本番さながらに音を合わせていたサニーデイ・サービス。曾我部恵一(Vo&Gt)がふと、「あと5分ある?1曲やろうよ」と提案し、「Goo」をサプライズ演奏。オーディエンスから歓声が上がった。

本番では、1曲目に「TOKYO SUNSET」。「TOKYO SUNSET 涙が出るほど美しいねホント」(”TOKYO SUNSET”の歌詞より)に合わせ、ステージがオレンジ色に染まる。「センキュー!!サニーデイ・サービスです、どうもー!会いたかったよー!」と曽我部は元気よくあいさつした。続いて「夜のメロディ」では一転して水色と青色のライトが3人を照らす。曽我部は郷愁を誘う優しいストロークでイノセントな楽曲を表現する。

「京都ー!ボロフェスター!!声出る曲やろうよ、コールアンドレスポンス!」と叫び、「スロウライダー」へ。曽我部の「カモン!」の声に合わせてオーディエンスは「ヘイ!」とやり取りを楽しんだ。曽我部は前に出てきてギターソロを弾き、田中貴(Ba)と向かい合いながら弾く一幕も。アウトロの大工原幹雄(Dr)がアウトロのシンバルをぴたっと止め、演奏を終えた。

MCでは終始明るい笑顔の曽我部。「サニーデイ・サービスです!やっぱみんなで歌うのいいね!コロナ禍前はやってなかったんだけど、俺たちの生存確認を含めコールアンドレスポンスをはじめました」と話した。続けて、「俺の高校は文化祭がなかった。だから憧れがあるわけ。ここに来ると失われた文化祭に来たようで超楽しい!ありがとう!」とボロフェスタを心から楽しんでいる様子だった。

4曲目には「まほう」。田中はベースヘッドを上下に揺らし、情感たっぷりのベースを聴かせる。大工原は目を閉じ、歯を食いしばりながら汗だくでドラムを叩く。「やりたい曲がいっぱいある。また京都も関西も来るからね!」と早くもライヴが終わるのが名残惜しいオーディエンスに向けて曽我部は約束をする。

少し間をおいて、「コンビニのコーヒーが好きなんです。それを書こうと思って、ノートにコンビニのコーヒーが好きと書いて」と曲ができる経緯を話し、「コンビニのコーヒー」へ。時折フロアのなかの”あなた”に届けるように客を指さし、のけ反りながら思いを演奏にぶつけていた。

ライヴの終盤の「春の風」では、ベテランでありつつ爽やかで初々しいという相反するものが成り立つというサニーデイ・サービスらしい一面で魅了した。曽我部はホワイトファルコンにギターを持ち替え、「セツナ」を披露。堂々としたロック・スターの貫禄が感じられた。ステージに膝をついてアウトロを弾き、田中も曽我部も最後はアンプに音を直接送り込むような魂の演奏だった。田中の白いシャツは汗で張りつき、大工原のシャツは汗で色が変わっていた。

「ありがとうー!時間だよ、ありがとう京都!また会おうね」、そして「そっちはどうだい?うまくやってるかい?」と語りかける。「青春狂想曲」を懐かしさを感じるアンサンブルで奏で、KBSホールにいるオーディエンス全員を包み込む。

「ボロフェスター!ありがとうー!京都―!!」と曽我部は感謝を口にし、「センキュー!京都!」とピックを投げ、ステージを後にした。

Text by 松下愛

Photo by shohnophoto