BODIL

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

マネキンと黒い仮面、そしてヌンチャク

夜も更け、会話と歓声のボリュームも大きくなってきたタイミングで、FRONT STAGEには初出演となるBODILが登場。
Stones Taroのステージ中から視界に入っていた白いマネキンが、「これから何が起こるんだ?」という想像力を掻き立てる。

黒い仮面をつけて舞台に現れ1曲を終えると、仮面をテイクオフ。腕をぐるぐると回したり交互に掲げたりと、ボクシングの動きを想像させるようなダンスから目を離せない。

「踊ってますか?これはダンスミュージックですよ!」とBODILが煽ると、そんな不思議なダンスを、オーディエンスも懸命に真似をする。それは”BODY”同士の、体温を帯びたやりとりだった。

舞台は中盤、BODILは長いアンテナの付いたトランシーバー型のマイクを手に取った。
繰り返される高音の電子音と相まって、まるで宇宙と交信しているようだ。

さて、ライヴも終盤にさしかかると、いよいよ気になっていたトルソーの出番。肩に着けられた機械の赤い光が、順番に点滅する。身体を象徴する上半身の模型と肩に埋め込まれた電子部品は、色気のあるBODILの肉声とエレクトリックな楽器が融合した彼自身の音楽性と合致した。

ステージで宙吊りになったBODILが、ヌンチャクパフォーマンスを披露してライヴの終わりを迎えると、MC土龍は「ニューウェーブってフィジカルの話だったんかな」と笑顔で語っていた。

草木も眠る丑三つ時、METROは眠らず爆音が鳴り続けている。

Text by 横堀つばさ

Photo by 石橋充