Hwyl

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

これからの快進撃を目撃せよ。

2021年6月結成の若きスリーピース・バンドが堂々と京都デビューだ。ボロフェスタに初登場、京都初ライヴとなるHwylが街の底ステージにやってきた。地下の会場には、フレッシュな彼らの音楽を聴きたい人が押しかけ、期待感の高まりを全体から感じる。

「この世に起こる全てのことはだいたい他人事」とあきたりさ(Vo&Gt)が叫び歌い上げる「i don’t know」から始まり、小説を読んでいるような気分になる歌詞が並ぶ「SIREN」を演奏。この時点で、彼女たちが勢いだけではないバンドであることがはっきりとわかる。

「暮らし」、そして、今年9月にデジタル・リリースした「安全地帯」と日常を面白い切り口で赤裸々に綴った曲が続く。「胸を張って、抱えて 自分で選んだものを正解にするんだよ」そう強く歌い上げる彼女たちは、大人になっていく過程で誰もが抱える自分の中での小さな違和感を歌詞にのせつつ、まだ見ぬ未来に対して、信じたい希望や期待のような心情を込めている。もがくような日々の葛藤も含め、自分の人生は自分で切り拓いていくんだという意志が感じられて、同世代としても頼もしい。

すでにアチアチのフロアから手拍子が鳴り響き始まったラスト「Treasure」では、「もっとわがままでいいじゃない!って」「根拠のない自信だって 無駄じゃないわ」とあきたは力強い歌声で叫び、クマダノドカ(Gt)もタケマトモヤ(Dr)も楽器含め全身で表現している。最初から最後までHwylの勢いそのままに、30分弱のオン・ステージを終えた。

若さゆえの感覚なのか? 同意できる部分も多かった。日常の些細な出来事をそんな切り取り方ができるのか、素敵な物事の捉え方だな、と歌詞に興味が湧いた。彼女たちはきっとこれからさらに、歌詞への共感だけに留まらない視点で支持され、もっと大きくなるだろう。今後が楽しみなバンドに今年もまた、KBSホールの地下で出会えてしまった。

Text by キムラアカネ

Photo by 石橋充