BREAKING FESTA

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

耳よ、心臓にする準備はできているか

10月28日から急ピッチで本番に向けての仕込みが始まり、タイムテーブルの看板作りからステージ組みまで、ボランティアスタッフの手で作り上げてきた。
もう少しだけダンボールの残るロビー、おそらく微調整するであろうテント…明日の午前で総仕上げだ。

だがもう、スタッフの熱気が体に溜まりに溜まり、もう放たないとやってられへん!!
スタッフの熱を放つためには、お客さんとKBSホールの“耳”を“心臓”にしなければならない。

BREAKING FESTAの開演だ。
今回もボロフェスタでやったことがないことをしようと、BREAKING DOWNから着想を得て決まったものである。

GREEN SIDE STAGEにはULTRA CUB、ORANGE SIDE STAGEにはthe seadays。
90度に向き合ったステージにそれぞれが同時に立つ。

直角は、座り位置の場合に対話がいちばんナチュラルにしやすいと言われているが、対バンの場合でも両バンドの目線が合い、いちばんエキサイティングになる位置だ。
誰か、対バンの新しい公式スタイルとして根付かせてくれ。

両バンドが1曲ずつ、まだミュートかけきれてないのに次の曲が鳴らされるのは前代未聞である。
まさしく“BREAKING DOWN式対バン”だ。

ULTRA CUBのカーミタカアキ(Vo&Gt)が「seadaysボコボコにしに来たのでそのつもりで」とメンチを切ると、
the seadaysの渡辺りょう(Vo&Gt)が「今日は勝ちに来ました」とガンを飛ばした。

両バンド3曲ずつを終えたところで、カーミが「自己紹介してもいいですか」と言ったあと、間もなくthe seadays側からULTRA CUBのキラーチューン「愛を呼ぶ愛してる愛を叫んでるケモノ」のイントロが爆裂した。

その瞬間に肌で「これは伝説の瞬間だ」という感覚に炙られた。
そうしている間にULTRA CUBも乗っかってくる。
そこから先は直角に隣り合ったステージから放たれる音に、なすがままになるしかない。
ボロフェスタ主催の土龍もオーディエンスの手を借りてダイブで90度移動した。

伝説は1曲で終わらない。
これまたノンストップにULTRA CUB側からthe seadaysの「jersey girl」のビートが聴こえ、両バンドで轟々に音を鳴らす。

凄まじいスピードで駆け抜けた対バンだった。
終わったあとで、これで私たちの心臓は、耳と一体化したように感じた。

スタッフの体に溜まりに溜まっていた熱は放たれた。
ちなみに、ボロフェスタ開催期間の3日間は夏日に逆戻りする予報だ。
水分も取りながら、心臓と一緒になった耳で楽しもうやないか!

Text by 小池迪代

Photo by ウチダミサキ

Photo by shohnophoto