the McFaddin

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

彼らのイマを示した3年目のステージ。

〈ボロフェスタ2023〉は早くも最終日。この日、GREEN SIDE STAGEのトップバッターで登場したのは、京都を拠点として活動するthe McFaddinだ。
彼らの魅力のひとつでもある映像演出用の幕が閉まり、ステージ全体が暗い雰囲気の中、2023年3月にリリースした新作EPより表題曲「WH3Nwh3re」が。彼らの3年目のボロフェスタはこの曲からスタートだ。しっとりめのメロディにのせたRyosei Yamada(Vo&Gt)の優しげに歌い上げる声、そして、Ryoma Matsumoto(VJ)の映し出す白く光るロゴや文字が相まって、1曲目から彼ら独自の世界観に包んでいく。
歪みが大きめのギターイントロから入った2曲目「irk」では、ryoseiはマイクを手で包みこみながら、足を一歩一歩踏みしめ歌う。この曲で、“MCFDN”ロゴを背景に「みててよおれたちのほんき」と叫び音を鳴らす彼らの姿を観る度に、ずっと応援していたいし今後の活躍がもっともっと楽しみな気持ちになる。全員の音が後半に向けて加速していく中でも、各々鳴らす音のハマり具合がレベル・アップしている気がして、気持ち良い。

MCでは「これがまず言いたい」とボロフェスタへの感謝を述べ、1日目も2日目もメトロも遊びに行っていたとニコニコ話すryosei。思い返せば確かに毎日会ったなあ、と少しクスッとしてしまう。「じゃあ踊ろうぜ! うん、いこ!」と続けた「DRAW IN A HEAD」では、お馴染みの赤と青の映像をバックに「君次第じゃね?」とフロアを指差しながら踊る。自分たちを1歩先に進ませてくれた、と彼らがこの曲を大切にしているように、私たちもこの曲を今後も大事に聴き続けていきたい。

Keisho Maeda(Gt&Syn)がステージ上の赤いライトをライトセーバーのように振り回して遊んでいる様子にほっこりしていると、「汗だくになって遊ぼうぜ! 」と「Whales」を続ける。終盤にかけてのTaito Kitahara(Gt)の鋭く切り刻むような音と、Keishoの優しさも感じる音が合わさって耳に届く。そして、「フロムキョウトシティ! 俺らが京都のthe McFaddin! 」と高々に宣言し、「far」を演奏。Matsunaga Masayuki(Ba)とkeishoも背中合わせで演奏したりと、今日もメンバー全員が楽しそうにステージに立っている。

「コロナ禍、バンドしかやりたくないけどバンドができない時期に音楽に投資したら、ボロフェスタに見つけてもらって、初めて出演できたのが3年前。この3年で当時の自分からは心境の変化もある。ボロフェスタが一人前にしてくれた。心からありがとう」と再度感謝を述べ、「戦争とか当たり前にある時代に音楽をしていていいのか?と自分が嫌になることもあったけれど、自分がやってることは間違えてない、と信じたい。でも最近わかってきたけど、多分間違ってない。」と最近の心情をこれまでの葛藤も含めて話すryosei。そんな人間味がある彼らだからこそ届く音楽もきっとあると思うのだ。「神様は信じられてないけど運命は信じている。そういう曲作りました。」と「I cross my fingers all the time」を続けた。サビで映し出される曲名と映像をバックに泣きそうな表情で力強くドラムを叩くYu Ando(Dr)の姿も印象的だった。続く「BuBBle」では、青く照らされるステージを自由に動き回ったり、キックしたり、フロアとひとつひとつ確認し合うかのように音を鳴らす彼ら。そして、1番新しいEPの最後のこの曲で終わるとメンバー全員ハッピーな気持ちになれるから、と富士山や新幹線が出てくるポップな映像も印象的な「betbetbet」でライヴを締めた。

この日、最新EP『WH3Nwh3re』の曲を全て演奏したthe McFaddin。彼らの今を存分に伝えたステージだった。また、最前列で観ていた少年にすぐさまピックを渡したり、「この後のw.o.d.や最後のZAZEN BOYSまで楽しんで!」と随所に気遣いと優しさを見せる人柄は、今日も素敵だった。京都に支えられてバンドマンになれたバンド、the McFaddinの今後の活躍からまだまだ目が離せない。

Text by キムラアカネ

Photo by shohnophoto