怒髪天

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

大人はサイコー!

リハの声出しから全力の盛り上がり。ワクワクが最高潮になった頃、男祭のSEにのせた手拍子とともに登場したのは怒髪天。

直前にパフォーマンスをしていた水曜日のカンパネラと自分たちを比較して、「映えるスイーツの後に煮込み出てきたみたいな感じですけれども。茶色くてすいません。」と笑う増子直純(Vo)。調子の良い流暢なMCとは相対して、演奏では4人全員が休む間もなく全力をぶつけてくる。

「ロックバンドは“熱く”“ダサく”“まっすぐ”。これが三つ揃ってるのが俺たち」この言葉に嘘は1ミリもない。本当に、本当にかっこいい最高のステージだったのだが、筆者は中盤「孤独のエール」での最後の“がんばれ”と表情が頭から離れない。曲終わり、拳を胸に抱いて噛みしめるように目をつぶるその姿は、私だけではなく、皆の心を掴んで離さなかったに違いない。

そして「老害上等!」と繰り出す「OUT老GUYS」から、ラストは「オトナノススメ」。結成39年。今年57歳の熱いバンドマンが大人として、サイコーにロックで、本気でかっこいい大人たちを見せてくれた。

「初見のお客さんもいるからこれくらいやらないと後悔する」最初から最後まで全身全霊でそれぞれの音と言葉を届けた怒髪天。そのステージは圧巻の一言。私たちの拳も思わず突き上がり、踊ってしまう。ステージの4人とオーディエンス。お互いのエネルギーをぶつけ合い、1つになった瞬間がボロフェスタ後半のこのステージで完成していた。

作り手の顔がよく見えるボロフェスタ。裏方も演者も観客も、大人たちが本気で遊ぶために、本気で作るフェス。サイコーな大人たちのおかげで、1日目にしてボルテージは最高だ。

Text by 大井優

Photo by コマツトシオ