T.M.P

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

終わる夜、過ぎた青春、T.M.P夢の30分

昨年は、T.M.P/KANG SIGH HYPER CREWとして街の底STAGEをパンパンに埋め尽くした彼らが、今年は夜のボロフェスタFRONT STAGEのトリとして帰還!
Taochy(Vo&Mnp)とDeewa(Vo&Gt)は、19時前のKANG SIGH HYPER CREWでのライヴから約7時間ぶりの2ステージ目のライヴとなった。

大シンガロングが巻き起こった5364からバトンを受け取ってのライヴは、大きなプレッシャーもあったであろうことは想像に難くない。

ライヴは、期待を一心に背負った2人が「後ろにいる奴も前にいる奴も全員踊らせて帰ります!」と力強く宣言してスタート。気合いがビリビリと伝わってくるDeewaのギターと激しく動き回るTaochyの気迫に、オーディエンスはダイブの嵐で応える。

昨年3年ぶりの開催となったオールナイトが当たり前に今年も続き、眼前にこの光景が広がっていること。それがどれほどまでに尊いことなのかを改めて感じる瞬間だった。

続いて放たれた疾走感溢れるキラーチューン「VirtualAirRider」では、なんとKANG SIGH HYPER CREWが登場!19時のステージでも披露された同曲が、METROにてまたもや鳴らされていることを、多くの人が踊りながら喜んでいた。

ライヴ中、Deewaは繰り返し「もっと盛り上がろう」と叫んでいた。これは決して盛り上がりが足りていなかったというわけではない。ただひたすらに、もっと一つに、もっと一つにと願う気持ちが、言葉となって結実していたのである。

過ぎ去った夏の夜と聞こえ始めた冬の足音、まさに今の季節を歌った楽曲「Qall」を、海の映像をバックに歌い上げるとMCへ。「T.M.PでKBSに立つ!」、「ぐちゃぐちゃにしてくれと、オファーの時に言われました。それしか考えてない!」と、さらにライヴが加速していく中で投下された「HyperDream」や「サマーエンド・スーパーノヴァ」は、間違いなく今年の、いやこの先のボロフェスタを語る上で外せないシーンだった。

2人の姿は「HyperDream」の曲中に登場する「ヒーロー」の姿とオーバラップし、MCで語られたKBSホール出演への誓いは「HyperDream」そのものと重なる。花火や入道雲、風鈴などの映像が流れた「サマーエンド・スーパーノヴァ」は、T.M.Pの楽曲を受け取る時に感じてしまう過ぎ去った青春へのエモーションを呼び覚ます。思えば、私たちが思い浮かべる青春は、なぜか青い季節ーーー過ぎ去った夏ーーーと強く結びついている。しかし、11月4日の深夜、Club METROでT.M.Pが歌っていた時間は、夏は終わりを告げていても確かに青春だった。

「ボロフェスタ大好き!みんなに捧げます」と語った最終曲「Blue Vibes」では、後ろの観客までが「Blue Vibes」と口ずさみ、おそらく誰よりも2人のライヴを心待ちにしていたであろう土龍も拳を強く天へと掲げる。高く上がったハードルを悠々と飛び越えたT.M.Pの30分間は、記憶に強く強く刻み込まれた。

Text by 横堀つばさ

Photo by 石橋充