村島洋一

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

京都の至宝、村島洋一

すっかり日が暮れた頃、どすこいSTAGEには村島洋一が登場。
京都発の彼は、様々な形態で輝きを放ち、多大な信頼と評価を得ている音楽人。今回は、松川桃子(Pf/Cho)との出演となる。

「you’re the secret」から始まり、儚い旋律と優しく声が響き合う
「正体」では嘆きのような、時に叫びが共存する。
「正体よこれが」と村島が唄うように、私達の奥にあるもの引きずり出すような叫びだ。
松川のコーラスと混ざり、より洗練されていく。美しいビブラートを残し、フロアがゆっくりと揺られる。
「竜の棲家」では、綺麗なアルペジオが掻き消されない、それでも優しく穏やかな声がフロアを包んだ。

「夜よ明けるな」では、サビの美しいフレーズが耳から離れない。
明けない夜はない、それでも私達は眠り、明日を迎える。
時には逆らえないが、彼の歌声は現実も超えてくれる様な気がする。

村島は、「楽しいわ、ありがとう」と一言をフロアに残し、ライヴも終盤に差し掛かる。
社会の喧騒を抜け、彼の唄を聴けばきっと救われる。
彼の想いが伝わったかの様に、フロアからは盛大な拍手が送られた。

「ボロフェスタ、楽しかったわ」とフロアに伝え、
最後は、「街と賛美歌」。終盤に向かう程力強くなる歌声は、賛美歌のように美しかった。

演奏後、深々にフロアにお辞儀をする姿は彼の人間性も垣間見え、ここまでを含めて素晴らしいステージだった。

Text by 堀士直輝

Photo by 吉田結衣