臓物をすべて取り出したIDOL
移動式ステージでKBSホール中を駆け巡り、京都のアイドルとしてのプライドを見せつけたきのホ。
引き続きKBSホール内ではアイドルのパフォーマンスのバトンが渡る。
｢はじめましてASPです｣とモグ・ライアンの金切り声がKBSホールに響くと、｢拝啓 ロックスター様｣のイントロが頭を沸騰させる。
ならず者（ASPのファン名）たちは鍛え上げられたヘッドバンキングを打ちつける。
The Prodigyのマキシムが原曲を提供し、それを元にODD Foot WorksのPecoriが作詞作曲、アレンジをYohji Igarashiが手がけた｢TOXiC iNVASiON｣をぶっかます。
この曲により、いまのASPの衣装がぬらぬらとした赤く、臓物のようだ。衣装の切込みはメンバーごとに異なり、メンバーの魅了を際立たせる。
ユメカ・ナウカナ？のどデカい｢こんにちは｣から、チッチチチーチーチーが｢ボロフェスタ、本当に嬉しいです｣とマイク無しでも届く挨拶をする。
｢Blueberry Gum｣では普段はパンクロックをクールに放つASPから一転、チーチーを中心にえくぼを全没させ、キュートであどけないASPになる。
向かい合う振りや同じ歌割りも多いマチルダー・ツインズとウォンカー・ツインズは一体感を全力で見せつけるから、その中にマチルダーとウォンカーとの推したくなる違いを発見する。
ASPの楽曲の中で、最もコールを爆裂させられる｢ITSUMO KOKOKARA｣のイントロがなると、ならず者たちの家虎コールが放たれる。
解放された家虎コールに、ナ前ナ以が鋭い目線で返し、リオンタウンのガナリの入ったようなシャウトが身体をしびれさせた。
ASPはボロフェスタで、キュートからグロテスクまで表現し、内蔵すべて取り出して彼女たちなりにもう一体の身体を再構築させていた。
そんなグロティスクなライヴは“創造”そのもののよう。
だから“創造”のフェス・ボロフェスタに出演するのは必然だったのだ。
Text by 小池迪代
Photo by ウチダミサキ
