w.o.d.

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

逆光に立ち向かう

ボロフェスタ初登場のw.o.d.が、the McFaddinからオルタナティブのバトンを引き継いでORANGE SIDE STAGEへ上がる。

全員で向かい合って始まった演奏。初っ端からキラーチューン「1994」のストレートな演奏でつかみは抜群である。曲が始まると同時にリハーサルからうずうずしていた観客たちも音圧に吸い寄せられるように前に詰めてかけていく。

続く「イカロス」。リズム隊Ken Mackay(Ba)の重厚感抜群のベースと中島元良(Dr)のこれまた深くて強いビートが耳を通り越して体の芯に響いてきて、全身で音を浴びている感覚が最高に気持ちいい。このイントロのグランジ感がたまらない。そこにのせられるギターリフとフロアも一段とアガってきた。

激しい演奏なのに妖艶さを持ち合わせた、関西発のw.o.d.。ボロフェスタにお客さんとして来たことがあるというサイトウタクヤ(Vo&Gt)がその時の思い出を語った。
「その時は大学生でネバヤン見て、帰りにサイゼリヤでマグナムボトル飲んで帰りました。なのですごい楽しい思い出が残ってます。今日も楽しい思い出にしたいです」と照れくさそうにしながら話す。

アニメ「BLEACH 千年血戦篇-訣別譚-」のOPにもなった星の歌「STARS」や、中毒性の強いギターリフが特徴的な「踊る阿呆に見る阿呆」と演奏は続く。さらに「My Generation」ではミラーボールが天井で光り、大きなKBSホールが一気にダンスフロアと化す。キラーチューン中心ながらも細部でメッセージ性を取り入れた完璧なセットリストを魅せてくれた。

手作り感溢れるボロフェスタ。そのDIYが結果的に自分を守るものになる。
ウクライナ支援についても触れ、最後の一曲はそんな色々な困難や不安が起こっている世界に向けて、等身大の希望を歌った、新曲「陽炎」。
”さあ あがれ グライダー 届かない街まで届くように”

グライダーは向かい風を受けて上昇する。世界がどんな状況下でも、逆境に立ち向かう希望をくれる楽曲でステージをあとにしたw.o.d.。初登場とは思えない、芯のある確かなオーラをまとった三人がスモークに照らされた様子が頭から離れないでいる。

Text by 大井優

Photo by shohnophoto