Homecomings

ボロフェスタ2023
ボロフェスタ2023

Homecomingsは私たちの希望だ

歴年のボロフェスタにて、トップバッターや大トリなど数々の要所を務めてきたHomecomingsが今年はORANGE SIDE STAGEに帰還。

幻想的なSEをバックに4人が登場すると畳野彩加(Vo&Gt)がゆっくりとクリーントーンのギターを鳴らし始める。
朝日が登るように4人の後ろからオレンジ色の光が差し込み、シルエットが浮かび上がった「euphoria/ユーフォリア」でHomecomingsのライヴが始まる。
畳野の歌声に合わせ、福田穂那美(Ba&Cho)と石田成美(Dr&Cho)のコーラスが混ざり合い、儚さを演出していた。

寒くなるこれからの時期に似合いすぎる「Here」が終わると、止まることのないギターの残響をそのままに、流れ込むようにして「Shadow Boxer」へ突入。
「いま、夢は覚め きみの手にささやかなひかり」という結びの歌詞は、夢のようなライヴとHomecomingsがくれるささやかな希望と同義だった。

7年前にリリースされたセカンド・アルバム『SALE OF BROKEN DREAMS』から「HURTS」が演奏され1番のサビまで歌い上げるも、畳野はチューニングが上手くいかず「すいません。もう一度やらせて下さい」と頭からリスタート。
名残惜しさを感じていただけに、むしろ嬉しく思う。
同じような感情になったオーディエンスも多くいたのか、やり直しの宣言には歓声と拍手が向けられた。

「最後1曲やって終わります」と畳野が話したところで、もう40分が経過しようとしていることに気づき、驚かされる。
石田がバスドラムを鳴らし始めると歓声が上がったラストナンバーは「US/アス」だった。
「あたらしい朝まで あと少しで届くように」というサビではミラーボールが回り、周囲でライヴを観ていた人たちの顔がよく見えるようになる。
この瞬間「私」は「私たち」、つまり”US”へと変貌を遂げ、「これはわたしたちのうた」というフレーズとピタリと重なった。

最後のサビ前、畳野がどこか祈るように丁寧に丁寧にギターを鳴らしていく。
すると少しずつKBSホールの大きなステンドグラスを姿を現す。ここに動画を残しておけないのが惜しまれるほど、美しいシーンだった。

今年の4月にリリースされたメジャー・セカンド・アルバム『New Neighbors』から4曲がピックアップされた40分。
それは中盤のMCにて福富優樹(Gt)が「毎年毎年ボロフェスタに格好よくなって帰ってこれるのが嬉しい」と話していたように、彼女たちが常に進化し続けていること、ベストを更新していることを裏付けていた。
その旅路は、ボロフェスタが歩んできた道筋と確かに交わっていた。

Text by 横堀つばさ

Photo by 石橋充