最強のジャパニーズソング
ドン! 開幕の音頭のようにドラムが鳴り、「よろしくお願いします~!」の掛け声とともに、バンドアンサンブルが疾走する。〈ナノボロ2022〉の先陣を切るのは、関西を中心に活動する4人組バンド、フリージアン。GREEN SIDE STAGEから夏祭りの幕開けにふさわしい爽快感と熱気を帯びたロック・サウンドが、KBSホールを突き抜けていった。
「どストレート」という言葉が似合うマエダカズシ(Vo.)の全力投球の歌声が、始めから最後まで印象的だった。声を通して魂を差し出すような、といった感じだろうか。たなりょー(Dr.)の乾いたドラムの抜けのよさと、隆之介(Ba.)のファンキーなベース、MASASHI(Gt.)のいぶし銀の佇まいで撫でるギター。それぞれのよさが際立ちつつも、これら全てが、歌声を聴かせるために鳴っているように聴こえるスタイルが終始一貫していた。まさに「最強のジャパニーズソング」である。
最後の曲、“蛍”の優しい光を思わせるイントロを聴きながら、今年のナノボロが始まるとしみじみしつつ、曲の終盤には抑揚の効いた、情感たっぷりの展開が待ち受けていた。4人の阿吽の息であったバンド・サウンドが、花火のごとく弾けた。
Photo by shohnophoto
Text by 増井