刻み込まれていく音楽
ノイジシャンとして活動する角矢胡桃(Dr.)、美術家として活動する石田小榛(Vo.)の2人からなるツーピースバンド、HYPER GAL。昨年リリースしたセカンド・アルバム『pure』のツアー「pure vibes」を終えたばかりの彼女たち。一層磨きがかかっただろう、そのインダストリアルかつミニマルで硬質なビートと、扇動的なボーカルはKBSホールでひときわ異彩を放っていた。
ライヴも中盤、「こんばんは、HYPER GALです」と投げやるように放たれた挨拶のあとに披露された“ニューリビング”がとくに印象に残っている。キラキラと光るシンセのループの中で、ノイジーなビートが割れるように、ミドルテンポに進んでいく。“目に見えるものだけの、前提を崩してく”とひたすら繰り返し、反芻していく言葉が音と一体となり、刻み込まれるように鼓膜が刺激されていった。徹底的なミニマルさと、何をも寄せ付けようとしないが、愛を感じるパンキッシュなスタイルで会場を圧倒していたように見えた。
Photo by コマツトシオ
Text by 増井