SuiseiNoboAz

ボロフェスタ2021
ボロフェスタ2021

ずっとずっと先の未来でもきっと鳴ってる、ボアズならやってくれる。

ZAZEN BOYSからバトンを引き継ぎ、GREEN SIDE STAGEに登場したのは、ボロフェスタには2012年から3回目の出演となるSuiseiNoboAzだ。

SuiseiNoboAzとは2007年、石原正晴(Vo,Gt)を中心に東京都新宿区にて結成されたロック・バンドであり、2010年、向井秀徳プロデュースによる1stアルバム『SuiseiNoboAz』にてデビューを果たす。切っても切れない関係にある2組によるバトンの受け渡しに、「粋やなぁ~」とニヤっとしたのは私だけではないはず。物語性を生み出すボロフェスタのタイムテーブルのセンスの高さには、アーティスト愛が垣間見える。

石原の独特な節回しから、 “3020”へ。ライヴが始まった時の昂ぶるワクワク具合は、ロック・バンドとして完璧だ。澄み切った美しさを湛えるバンド・サウンドが圧巻のスケール感を体現し、私たちはどこまでも深いボアズの歌世界にどっぷり浸るのだった。音楽が現在・過去・未来を繋げ、どこかでまた新しい音楽が鳴る。人は死ぬが、音楽は死なない。SuiseiNoboAzは「3020年まで/ずっと友だちでいよう」と、今を生きる人々から、今よりずっとずっと先の未来に生きる人々まで、「音楽」を通じて繋がろうと、手を伸ばしている。SuiseiNoboAzというバンドの在り方を象徴する一曲に感じた。また、時代を超えても色褪せぬ強靭なメッセージを放つ一曲だからこそ、今から999年後、西暦3020年のイヤホンからは、流行りのポップスではなくて、SuiseiNoboAzの “3020”が流れていてほしい、と思った。

深い夜の気配と、サイケな香りを漂わせる “Y.O.M.I.”から、新曲“THE RIDER”へ。メンバー同士の火花散るプレイに痺れ、アグレッシヴなオルタナティヴ・サウンドを目一杯に浴びる。

最後は、ナノボロフェスタ2021にてKBSホールのステンドグラスを背負い演奏した“PIKA”。閃光のごとく眩いギター、地を這うベース、鍛え抜かれたタイトなドラムス、爆発力ある歌声。この4人組が演奏しているのは、まぎれもなくロックだ。それも聴き手の感動だったり想像力、感情を起動させるロック。私たちの琴線をこれでもかというほど震わせたのだった。

ライヴが終わっても、その余韻はなかなか消えていかない。まだ時間がかかりそうだ。

Text by 石上 温大

Photo by shohnophoto