jizue

ボロフェスタ2021
ボロフェスタ2021

しなやかかつ強靭なバンド・アンサンブル

GREEN SIDE STAGEのアクトは、京都発のインスト・バンドjizue。ハードコア・ロックの衝動を思わせる勢いと、ジャズ由来の変拍子が生む熾烈なグルーヴ、トリップしそうになるほど艶やかなキーボードが複雑に組み立てられたサウンドで、息を吞むほど美しいライヴを披露した。

開始早々、スリリングな演奏と妖艶な旋律が際立つ人気曲、“atom”と“grass”で会場を一気に見晴らしのよい景色へと誘う。緑、青、紫の照明も相まって、晴天とマジック・アワーの中を揺らぎながら突き進むような感覚に襲われた。

爽快な心地が会場を漂う中、片木希依(Key)が「大好きな地元のフェスなので、出演できて嬉しいです。いい音楽の時間を過ごせたらと思います」とMCをする。すると、温かい拍手が送られる。地元特有の穏やかなムードに包まれ、マスクの中の顔が緩んだ。

12月に控えた15周年記念アルバム『Garden』のリリースに収録、“Kiji”では溜めの効いたグルーヴから混沌としたアンサンブルで決め、“marten”では、うねるように躍動するメロディと共に、それぞれのパートずつソロを披露した。演奏中に笑顔こぼれる場面もみられ、のびのびと、かつ、強靭なパフォーマンスを目にできたと思う。15周年のこの先も、またボロフェスタで観れるのが楽しみだ。

Photo by shohnophoto

Text by 増井