おとぼけビ~バ~の叫び
KBSホールに響く轟音の正体は、ロック・バンドおとぼけビ~バ~のものだ。京都出身の彼女たちだが、いまやワールドワイドな人気を誇るバンドである。ボロフェスタにも多く出演しており、その折々で彼女たちのハート・ビートを観客に届けてきた。GREEN SIDE STAGEのリハチェック後、ボロフェスタ2021名物フレディ・モーグリーによる“We Will Rock You”に合わせた足踏みと拍手で、会場後方からミラーボールが登場。紐を引き、出てきたメッセージは、「好き好き大好き、おとぼけビ~バ~」であった。
ボロフェスタからのサプライズ演出に、よよよしえ(Gt)は「OK、やるっきゃねぇよなぁ〜!?」と意気込み、ライヴをスタートさせた。恋のルサンチマンを色濃く綴った歌詞を、あっこりんりん(Vo)とよよよしえがギロリと睨みを効かして歌い、ひろちゃん(Ba)、かほキッス(Dr)たちリズム隊が爆音を届ける。“Don’t Light My Fire”とキャッチーなフレーズの“ハートに火をつけたならばちゃんと消して帰って”では、ハードコア・パンクの真髄を見せられ、会場前方にいた観客に「集まってくれた前方のジジイ!!ジジイ!!ジジイ!!ジジイ!!」と罵った、“ジジイ is Waiting For My Reaction”では、あっこりんりんの(おそらく)感謝の意を込めて突きつけた中指が、会場を沸かした。
以前よりKBSホールの地下「街の底ステージ」で演奏していたおとぼけビ~バ~。今年は地下ステージがないため、メイン・ステージの出場となったが、「地下から這いずり出てきてやったが、メインステージはまだ遠い……!」とよよよしえ。その発言は、「地下ステージの番人」から放たれるメイン・ステージへの宣戦布告のようにも見えた。35分に全15曲をぶち込んだ濃密で贅沢なステージ。短い1曲1曲の中で、彼女たちのメッセージがダイレクトに心に届いた。「ボロフェスタを最後まで楽しめよ諸君」と言い残し、ギターを投げ捨てステージを後にした。
ボロフェスタからの愛を受けながら、メイン・ステージでも強いインパクトを残したおとぼけビ~バ~。爆音で演奏する彼女たちの姿を再びここで見たいと思った。
Photo by コマツトシオ
Text by けんてい