猫戦

ナノボロ2022
ナノボロ2022

ビーチバカンスなチルさが心地よい

パティ・ラベルのとろけてしまいそうなフィリー・ソウルをSE曲に、猫戦が登場。80’sライクな衣装を装い、ステージ上で余裕のある空気感をも身にまとっていた。今年リリースされたファースト・アルバム『蜜・月・紀・行』は各所で好評を博しているのだが、何よりも、バンドとして満足のいく作品になったのだろう。本人たちも自負するように、猫戦史上いちばんいい状態にみえた。「チルしてってください」、と茶目っ気のある口調でオーディエンスを促すと、GREEN SIDE STAGEはしっとりと、ビーチバカンスを思わせる音像に包まれていった。

ライヴ序盤で披露してくれた“Lovers…?”は、ミドルテンポな横揺れナンバーだ。海沿いを走るのにうってつけのドライヴ感で耳を撫でていく。メロウでソウルフルな音像は、アーバン・ロマンスなボーカルと、さざ波のようなリズム隊、キーボードによるところが大きいように聴こえた。そして、ビーチに浮かぶサンライズのように光る、小原太一(Gt.)のギターがまぶしい。その景色の中には、心からチルを楽しむ、原田美桜(Vo.)の活き活きした姿があった。

Photo by 瀬藤育

Text by 増井