B玉

ナノボロフェスタ2020
ナノボロフェスタ2020

Text by 石上温大
Photo by やまだのどか

迸る激情、凄絶な勢い、振り切れたテンション。
B玉が予定調和を蹴り上げた!

くぴぽからバトンを引き継ぎ、Never Die ステージに登場したのは、今関西で最も勢いのあるフルエナジー・パンク・バンド「B玉」だ。

かん(Vo,Gt)が「What’ up~」と威勢良く放ち、「平成ソフトコア大作戦」で容赦なく始まったステージ。B玉のライヴは初参戦の筆者の想像を絶する獰猛な轟音がワイルドに打ち鳴らされ、立っているのがやっとだったほど、ステージから発される音のエネルギーにはインパクトがあった。間違いなく今日一番やばいステージになると、オーディエンス全員が察したはずだ。

「才能ないにこした事はない」に続き、「遊びたい気持ちにだけは制限をかけない!」とかんが自らのポリシーを用いて扇動し、「それだけ」へ。
ナノボロ2020への500%の気合いが伝わる爆音が、会場の開放感と連帯感をぶち上げていた。Bスケ(Ba)の「オレお利口ちゃうねん」という叫びが印象的だった。

次はむっちゃん(Gt)がボーカルを務める「28歳」。かんが狂おしいほどに弾き倒すイントロはメロディックで、むっちゃんの歌声が何より優しかった。

続く「たりない」では、Bスケが勢い余ってステージを飛び出し、ベースのヘッドをフェンスに叩き付け、オーディエンスに中指を立てるなど、自らの物足りなさを体現するようなパフォーマンスだった。

「ラインを越えろ」、「景色」を演奏して終了。最後まで会場の熱が冷めるはずもなく、筆者もテンションが振り切れてしまった。

リハから全力疾走で駆け抜けた後、キラキラと光り輝くガラス玉のように儚く、美しい目をしていた4人に大きな拍手が送られた。

愛憎、悲哀、情念、エゴ、孤独、夢、多種のエモーションが犇めき合うステージで、4人は止めどないエナジーと衝動をこれでもかというほど伝え尽くしていた。オーディエンスも頭で理解するには速すぎて、心で音を噛みしめていただろう。

裏では、スタッフ用にとドリンクを差し入れてくれたり、笑顔で挨拶してくれるなど、ステージでは見せない優しさでも、スタッフから大いに愛されていた。

B玉は転がり続ける。どこまでも、いつまでもRoll & Spritで絶対に止まることなく、前進し続ける。ナノボロフェスタは、そんな彼らを応援し続ける。