ボロフェスタ3日目、最高のスタート!
ボロフェスタ2021、3日のトップバッターはtricotだ。11時半という時間にも関わらず、会場にはたくさんのお客さんで溢れており、みなキラキラした表情でtricotを待っている。お客さんそれぞれが胸に寄せている期待が、どれほど大きなものかが見てわかる。
1曲目は“サマーナイトタウン”。中嶋イッキュウ(Vo&Gt)、キダ・モティフォ(Gt&Cho)、ヒロミ・ヒロヒロ(Ba&Cho)の3人の美しくも儚い歌声の掛け合いに、瞬間的に心を奪われる。演奏が始まった途端、会場全体が乗っ取られた!と感じた。キダは難解なリフを涼しく弾きこなし、吉田雄介(Dr)が叩く変拍子も多様で、独特であるのに聴いていて気持ちがいい。繊細さを持ちながら、しかしポップ。tricotというバンドの圧倒的な演奏力は、今回も“爆裂”していた。
人気曲“おちゃんせんすぅす”では、フレーズの最後に手をゆったりと上へ掲げる、あの振り付けも見ることができた。定番の振り付けに合わせて踊っているお客さんも多く、会場はより一体感が増していた。また、キダの踊るように演奏する姿は、なんと楽しそうなことか! そんなキダにつられて、私たちも一緒に演奏させてもらっているような気持ちになった。
中嶋はMCで、「ボロフェスタに来るお客さんは包容力があるイメージで、私たちが何をしても楽しんでくれるって知っているので」と語り、なんと新曲を披露してくれた。ボロフェスタだからこそやってくれたのだろうか、tricotとボロフェスタの絆を感じた瞬間だった。この言葉を聞いて京都に来てよかった、ボロに遊びに来てよかったと感じたお客さんも多いだろう。筆者自身も、嬉しい気持ちでいっぱいになった。その新曲“カヨコ”は、切なさとポップが同居したtricotらしさの詰まった楽曲となっていた。繊細な演奏と可憐で中毒性のある歌声がマッチしていた。
最後の曲は“おまえ”。非常に激しいロック・ナンバーだが、疾走感があり爽やかで、キャッチーなメロディーが耳に残る。最後までtricotのエネルギーを全身で感じることのできる時間だった。ボロフェスタへの想いを語ってくれた彼女達。私たちも、またボロフェスタで彼女達のライヴが見たいと思った。
MCで中嶋は12月12日に6枚目のアルバム『上出来』をリリースすると語った。新曲を出すたび、ライヴを重ねるたびに確実にパワーアップしているtricotの新アルバムは必聴だ。言葉にできないくらい感覚を刺激してくる、彼女達のライヴにまた足を運びたい。
Photo by shohnophoto
Text by ヒワタシサキ