Helsinki Lambda Club

ナノボロフェスタ2021
ナノボロフェスタ2021

Photo byリン
Text byヒワタシサキ

最高のライヴをありがとう!2日間のナノボロを熱く締めたHelsinki Lambda Club

多くの方々の協力のおかげで、ナノボロフェスタは最後まで開催することができた!大トリを務めるのはオルタナティブ・ロック・バンドHelsinki Lambda Club だ。GREEN SIDE STAGEに颯爽と現れた3人を観客は大きな拍手で迎えた。1曲目は漂うようなギターサウンドから始る「しゃれこうべ しゃれこうべ」。しっとりとした曲調で橋本薫(Gt,Vo)は客席を見渡しながら爽やかな歌声を披露。怪しげな歌詞とは裏腹に緩やかでポップなナンバーだ。

2曲目は「ミツビシ・マキアート」。アップテンポなこの曲が始まると観客は手を挙げたり足を鳴らしたりと、想い想いの形で音楽への愛情を表現した。リズミカルな音楽にKBSホールが揺れる。頭を振り豪快なベースを弾く稲葉航大(Ba)の姿が印象的だ。“Oh-oh-oh,oh-oh-oh-oh-oh”とHelsinki Lambda Clubと観客は1つになる。あの一体感と彼らに届けと拳を突き上げる観客の姿が忘れられない。

上がったヴァイブスはそのままに、ハイテンションで始まった「Skin」。気持ちのいいギターリフと爽快な歌詞が魅力の人気曲だ。熊谷太起(Gt)の豪快なギターソロが観客の高揚に拍車をかける。今だけは2021年の夏が終わってしまうこと、今年のナノボロフェスタが終わりに向かっていることを忘れてしまいたい、そんな気持ちだった。曲が終わると橋本は元気に「ありがとうございます!」と叫んだ。

橋本は「トリをさせてもらえてとても光栄です。ナノボロフェスタ無事にできて嬉しいです。たくさん考えた上での今だと思うし、なぜやるのか、来たのかというもののひとつの答えは楽しむため、だと思うのでよろしくお願いします!カルチャーが根付いた京都の方は楽しんでくれると思います!」と続けた。その言葉にまた、観客は拳を上げて応えた。ナノボロフェスタに来てよかった、心の中でそう思っていてくれたかもしれない。そう思えるようなライヴを、彼らは全力で創ってくれた。そして演奏された「King Of The White Chip」。気持ちよさそうに音楽を鳴らすメンバーとキャッチーなメロディーに酔いしれた。

不思議な笛の音から始まった「IKEA」。不思議な構成で波に揺られるようなお洒落な1曲。マイクを握りしめた橋本は心の芯まで届くようなラップを披露。ミステリアスな歌詞と複雑に入り乱れるサウンドで海の中に沈んでしまったように錯覚させられる。そんな不思議な感覚が癖になる。

「Good News Is Bad News」では熊谷の軽快なカッティングから曲が始まり、マイクスタンドに手をかけた橋本の艶やかで、どこか色っぽいような歌声が披露された。ナノボロフェスタの開催、そして無事に最後のバンドを迎えられたことを祝福するような1曲に心が躍る。

曲が終わると、「いやー、早いっすね、寂しいです!!」と橋本。そして「現実点で正解とか誰もわかんないと思うし、でもやっぱりこう、文化を絶やすことは長い目で見たらよくないことなので。今日やれたことは本当に良かったと思います!この瞬間は一瞬でも最高の時間を分かち合えたらと思います」と続けた。そして日常の全ての憂鬱を吹き飛ばすような軽快なサウンドと歌声で次の曲が始まった。「シンセミア」だ。これが夢ならば、いつまでも冷めないでほしいと思った。そんな心地良さが会場全体を包み込んでいた。

「午時葵」、サビの気持ちのいい高音の歌声が響き渡り、観客もその世界観に惹き込まれた。まさに楽園を見せてくれたHelsinki Lambda Club。その楽園の実体を見せるかのように舞台後ろの幕が開き、カラフルな美しいステンドグラスが姿を見せた。熱気は最高潮に達した!

そして爆音の「宵山ミラーボール」。長髪を振り回し盛り上げる稲葉。観客も頭を振ったり踊ったりして大盛り上がり。2日間のナノボロフェスタを体現するかのような明るく楽しい1曲でHelsinki Lambda Clubのステージは幕を閉じた。