アイアムアイ - ボロフェスタクイックレポート

アイアムアイはただ目の前にいるあなたをどうしても笑顔にしたいだけなのです。

「痛快！たまご工務店TV 出張版」からバトンを引き継ぎ、どすこいステージに登場したのは、「楽しい」の具現化「アイアムアイ」だ！バンドマンと芸人の2人による歌とパフォーマンス、音楽とお笑いが融合したエンターテインメント･ユニットである。

「伝説の盛り上げ師、アイアムアイでーーす！！」と宣言し、今年も「～俺たちいつでも神様信じてる～」でエンターテインメント･ショウが幕開けた。

井上メテオ（合いの手）がホイッスルを鳴らし、今月21日に発売となった2ndアルバム『愛マンション』から「サッカー」がキックオフ。キムアス（Vo,Gt）が力強くその場で行進しながらフォークギターを弾き、井上メテオがお客さんにも足踏みを誘う。歌が終わり、演り切ったあとのような静寂の中、井上メテオにより再度ホイッスルは鳴らされロスタイムに突入。予想を裏切られ、客席から笑いが起こる。今度こそ終わったと思った自分が情けなくなるほどに、三度ホイッスルは鳴り、延長戦がキックオフ。時代丸ごと鼓舞するような2人のバイタリティとドラゴン級のユーモアがお客さんの歓喜と高揚感をダイナミックに解き放った。

「アイアムアイの “ミニスカポリス” ことキムアスです！」、「アイアムアイの “鎖骨美人”こと井上メテオです！」と、MCでも貪欲に、突拍子もない自己紹介ボケを放ち、3曲目「色んな人種がいる中、中国人が前に出てくる歌」へ。天井知らずの2人のテンションで是が非でも会場を盛り上げるような楽曲が多い中、シュールなボケ方をした異色のナンバーだが、この日のセットリストにおいてはとても良いアクセントになっており、盛り上げる現場のシチュエーションにアジャストしたり、生のお客さんが求める「楽しい」を鋭敏に察知したりするなど、クレバーな魅力も併せ持つ。

続くMCでは、高校からの同級生である2人が34歳のオッサンになったことを報告し、キムアス曰く “オッサン版スタンド･バイ･ミー” の「おっさんソング」をプレイ。ステージ上で転げ回りながら目の前のお客さんを笑顔にしようとするオッサン2人のパワーを、シンプルに真っ直ぐ受け止めた同志たちが、サビでは賛同するように拳を突き上げていた光景が印象的だった。

ラストは「スピルバーグの友だちほとんど外人」と、分かり切ったことをメロディーに乗せてあえて言う8秒しかない曲「スピルバーグ」を4秒で歌い切り、みんなで一本締めをして第一章が終幕した。

その後、「ナノボロフェスタ2021」のどすこいステージでは、「ふちがみとふなと」、「ノイズカレー」とバトンを引き継ぎ、約3時間ぶりにアイアムアイが再び土俵に上がり、アイアムアイ･ショウの第二章が幕開けた。

第二章の1曲目は「4･4･5のリズムに乗せて言う言葉は気持ち良い」ということを発見した2人がこのルールでふざけ出し、最後の最後に「桜井･坂崎･高見沢」に行き着くTHE ALFEEオチの「4･4･5！」。井上メテオが「4･4･5！」のリズムに嵌まり、昇り詰め、派手に土をつけられたように自らぶっ飛んで土俵に倒れ込み、お客さんの笑いを誘っていた。

次はアイアムアイなりのラブソング「ラブリーベイビー」。これまで披露してきた楽曲とのギャップで余計に歌詞が心に響き、ピュアに「いい歌だなぁ」と思わされた。

「写真を撮って俺たちを喜ばせてください！アイアムアイっていう被写体素晴らしいんちゃうか！？」と訴えかえ、最後の曲「サンダーファイヤー」。大勢のお客さんから向けられた多くのカメラに向け、キムアスが井上メテオの肩に乗って演奏するなど、超ド級のパフォーマンスを繰り広げ、会場を盛り上げ倒してフィニッシュ。

お客さんに足踏みするよう誘ったり、写真撮影を促したりと、ソーシャルディスタンスを保ち、声の出せない状況でもお客さんを楽しませるアイアムアイの今流の演出から、「目の前にいるお客さんをどうしても笑顔にしたい！」という気概を感じた。また、1日で2度もアイアムアイのエンターテインメント･ショウを観たが、「人生は幸せなものかもしれない」ということを大声で言っているだけような気もした。もう「ナノボロフェスタ」のどすこいステージにアイアムアイは欠かせない。