クリトリック・リス

ボロフェスタ2021
ボロフェスタ2021

俺を照らす2021

「キュイ〜〜ン!」
会場の入り口から聞き慣れた音がする。12時50分のGREEN SIDE STAGEにクリトリック・リスのスギムが登壇する。今年52歳。高血圧。
ボロフェスタ20年の歴史に数々の功績(?)を残し盛り上げてきた。あるときはやぐらに乗って空気人形を飛ばし、あるときはステージの土俵を壊す。会場の盛り上げに関して、ボギーやアイアムアイと1位2位を争う彼だが、今年は同じようにはできない。ボロフェスタ20周年のステージをどのように盛り上げるか、いつものSEがかかり、かぶり物を被ったスギムを見て筆者は胸を踊らせた。

1曲目には“BUS-BUS”。彼を知るお客さんはもちろん盛り上がり、初めて見るお客さんは聴いたことのあるメロディに少しずつだが盛り上がる。続く“大阪ビリーバー”、“バンドマンの女”では、拍手に手拍子、ステージ前方のお客さん目掛けてスモークが噴射と、派手さこそはないが、お客さんを巻き込んでステージを盛り立てるのを見ると、52歳のおっさんがこんなに動いてること自体とんでもないことだなと感慨深くなる。同時に倒れないでくれとも思う。

スギムがボロフェスタに初めて出たのは30代の頃。それから20年が経ち、ボロフェスタと共に生きてきたとも言える彼が“おっさんライオット”で「おっさんだってまだやれる」と歌ってステージを駆け回っている。52歳という年齢に心配になるのは分かるが、今の彼がとても輝いて見えるのだからもっと暴れてほしい。そう願う筆者の想いが通じたのか、“エレーナ”では曲中、ステージ後方の女性の絵に「エレーナ! こんなになってしまったのか」と話しかけ、“LOST SUMMER”ではシンナー吸引の顔を全力で行う。
35分のステージで全力を出し切ったスギムの輝きに、観客から大きな拍手が送られた。ボロフェスタ2021、スポットライトは彼を照らしていた。

Photo by リン

Text by けんてい